疑問種および除外されるべき種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/09 09:36 UTC 版)
「オウギタケ属」の記事における「疑問種および除外されるべき種」の解説
G. alachuanus Murrill タイプ標本は北アメリカ(フロリダ)産のものである。ヨウ素溶液によって、かさや柄の菌糸は暗紫色に染まり、シスチジアもかすかに青変することから、クギタケ属に置かれるべき種類(おそらくChroogomphus jamaicensis (Murr.) O. K. Miller Jr.)であると考えられる。 G. griseovinaceus Kalamees エストニアから報告された種類であるが、詳細は不明である。新種記載された後、再度の採集記録はない。 G. foliiporus Murrill 現在では、イグチ科のキヒダタケ属に所属するPhylloporus rhodoxanthus ssp. foliiporous (Murr.) Sing.(日本では、従来は、誤ってイロガワリキヒダタケ P. bellus (Massee) Corner var. cyanescens Corner に当てられていた)のシノニムの一つとみなされている。 G. litiqiosus Britz. 原記載は非常に粗雑(かさは赤銅色で中央が盛り上がる:ひだは疎で垂生する:柄は屈曲し、基部はやや黄色みを帯びる:針葉樹下の地上に発生する、という)で、クギタケを思わせるところもあるが、その実体は明らかでない。これを後者の変種として扱い、G. rutilus var. litiqiosus (Britz.) Sing. の学名を当てる意見もある。なお、クギタケは、現在ではChroogomphus 属に移され、そのタイプ種に指定されているが、Chroogomphus rutilus var. litiqiosisの組み合わせ名は、いまだ有効かつ正当に提唱されていない。 G mediterraneus Finschow 原記載によれば、「かさは径2-5cm、粘性はなく、黒紫色で光沢を有し、部分的にしみを生じ、僅かにざらつき、縁は長く内側に巻き込むとともに、柄と繊維状の被膜で連結されている。柄はしばしば屈曲しており、かさと同色もしくはより暗色で、クモの巣状のつばを有する。ひだはやや密で柄に垂生し、赤銅色から次第に黒紫色となる。肉は淡橙褐色ないし赤褐色を呈し、柄の基部では橙褐色である。胞子は黒紫色で細長く(イグチ類のそれに似る)、大きさ14-15×6-7×4-5μmである。シスチジアは頭状をなす。アレッポマツPinus halepensis Millerの樹下に発生する」とされている。ヨウ素溶液に対する子実体や菌糸の反応については、原記載では触れられていないので断定はできないが、かさに粘性がないとされることからは、オウギタケ属の菌ではなくクギタケ属に置かれるべきものではないかと考えられる。上記の報文において、「クギタケと比較して胞子がやや短小であり、子実体の色調も異なることから新種であると考える」と述べられている点にも、これを疑わせるものがある。スペイン産の標本をもとに記載された種類であるが、その後の再発見の記録はなく、タイプ標本の詳細な再検討がなされた報告もないようである。 G. microsprous Sacc. and Trotter 記載によれば「かさは径5-7cm、肉色で粘性を有する:柄は中心性でしばしば屈曲し、くすんだ淡黄色、基部は細まり、赤色を帯び、後に赤褐色となる:ひだは柄に垂生し、分岐せず、かすかに赤みを帯びた白色であるが、成熟するとオリーブ色を帯びる:胞子は細長い楕円形で大きさ10-12×5.5 μm:シスチジアはオリーブ褐色の粒状物を含み、倒こん棒形:担子器は4個の胞子を生じる:地上に発生し、シロエノクギタケに近縁であると考えられる」とされているが、その後の再度の採集記録はなく、詳細は不明である。 G. roseus Massee 原記載は非常に粗雑で、分類学的な実体は明らかでない。ただし、この学名の発表は1908年であり、国際藻類・菌類・植物命名規約上の原則から、オウギタケの学名(発表は1838年)の同名(ホモニム)と見なされるため、分類学上は無効となる。 G. stillatus Strauss ドイツのババリア地方から記載された種類であるが、シロエノクギタケやキオウギタケの白色タイプに過ぎないともいわれている。 G. viscidus (L.) Fr. var. viscidus クギタケのシノニムとして扱うべきであるという指摘がある。
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