疑問視される属
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 04:06 UTC 版)
ククメリクルスの鰭と脚 シンダーハンネスの腹面の模式図 カリョシントリプスの前部付属肢対 ゼンヘカリスの甲皮 2010年代においては一般にラディオドンタ類に分類されるものの、本群としての本質が疑わしい、もしくはそのような経緯があった属は次の通りに列挙される。 ククメリクルス Cucumericrus Hou et al. 1995 にラディオドンタ類として記載される。胴部の付属肢と表皮の断片を含んだ数少ない化石のみによって知られる。鰭と共に二叉型の構造をなした、葉足と関節肢の中間形態を思わせる脚があるというラディオドンタ類として異様な形質が見られる。既存の化石標本で得られる情報が乏しく、系統解析がなされることも少ない。Van Roy et al. 2015 では Gilled lobopodians、ラディオドンタ類と真節足動物の中間的形態を表したものとされる。 詳細は「ククメリクルス」を参照 シンダーハンネス Schinderhannes Kühl et al. 2009 に記載され、1つの全身化石のみによって知られる。その頃では真節足動物の特徴(背板など)をもつとされ、これによりラディオドンタ類から区別されたが、この解釈は後に否定的に評価され、ラディオドンタ類に含まれることも多くの系統解析に支持される。 詳細は「シンダーハンネス#節足動物における系統的位置」を参照 カリョシントリプス Caryosyntrips Daley & Budd 2010 にラディオドンタ類として記載され、前部付属肢のみによって知られる。Gámez et al. 2017 は本属のいくつかの特異性(前部付属肢の左右開閉構造・不明瞭な節間膜など)に基づいてラディオドンタ類でない説を取り上げたが、Pates et al. 2018 はそれに対して本属のラディオドンタ類的形質を補足し、その説を否定した。系統解析では他のラディオドンタ類より基盤的とされるが、真節足動物に対して他のラディオドンタ類と単系統群になるかは不確実である。ただし2010年代を通じて、本属をラディオドンタ類と扱うのが一般的である。 詳細は「カリョシントリプス#MPZ_2009/1241に関する議論」を参照 ゼンヘカリス Zhenghecaris Vannier et al. 2006 に記載され、左右相称のドーム状の外骨格のみによって知られる。その頃では嚢頭類(Thylacocephala)と考えられ、その外骨格は嚢頭類の背甲の片割れと解釈された。ただし Zeng et al. 2017 の再検討をはじめとして、フルディア科のラディオドンタ類(その外骨格は背側の甲皮)である可能性が多くの文献に取り上げられる。なお、Zeng et al. 2017 で本属をラディオドンタ類とする根拠は、後にラディオドンタ類でないと判明したタウリコーニカリス(Tauricornicaris、後述も参照)との類似に基づいた部分が多いため、それ以外のラディオドンタ類的特徴が見つからない限り、本属のラディオドンタ類としての本質は依然として疑わしく見受けられる。
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