異方性ウェットエッチング(方位依存性エッチング)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 15:58 UTC 版)
「エッチング (微細加工)」の記事における「異方性ウェットエッチング(方位依存性エッチング)」の解説
ウェットエッチャントの中には、どの結晶面が露出しているかにより結晶材料を非常に異なる速度でエッチングするものもある。単結晶材料(例えばシリコンウェハーなど)では、この効果により、図に示すような高い異方性が得られる。「結晶学的エッチング」という用語は「結晶面に沿った異方性エッチング」と同義である。 しかし、ガラスのような一部の非結晶材料には異方性の手法においてエッチングする非従来の方法がある。作成者はガラスの溝を作製するための非エッチング液のエッチングなどマルチストリームの層流を用いている。中央のエッチャントは非エッチング液に側面を攻撃され、エッチング液と接触する領域は周囲の非エッチング液により制限される。これにより、エッチングの方向は主にガラス面に垂直である。SEM画像は従来のアスペクト比の理論的限界(幅/高さ = 0.5)を突破したことを示し、2倍の改善(幅/高さ = 1)に貢献している。 シリコンに対してはいくつかの異方性ウェットエッチャントを利用できるが、その全てが熱水性腐食剤である。例えば、水酸化カリウム(KOH)は結晶の<111>方向よりも<100>方向で400倍高いエッチング速度選択性を示す。EDP(エチレンジアミンとピロカテコールの水溶液)は17倍の<100>/<111>選択性を示し、KOHのように二酸化シリコンをエッチングせず、低濃度ドープシリコンと高濃度ホウ素ドープ(p型)シリコンの間で高い選択性も示す。CMOS集積回路をすでに含んでいるウェハーでこれらのエッチャントと使うには回路を保護する必要がある。KOHは可動性のカリウムイオンを二酸化シリコンに導入してしまう可能性があり、EDPは高い腐食性および発がん性があるため、使用には注意が必要である。水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)はEDPよりも安全な代替品であり、シリコンの{100}面と{111}面の間の選択性は37倍である。 マスキング材料の長方形の穴、例えば窒化シリコンの層の穴を通して(100)シリコン表面をエッチングすると、平坦な傾斜{111}方向の側壁と平坦な(100)方向の底を持つピットが形成される。{111}方向の側壁はウェハーの表面に対して arctan 2 = 54.7 ∘ {\displaystyle \arctan {\sqrt {2}}=54.7^{\circ }} の角度を持っている。エッチングを「完了」するまで、すなわち平坦な底がなくなるまで続けると、ピットはV字型の断面を持つ溝になる。元の長方形が完全な正方形であった場合、完全にエッチングされたピットはピラミッドの形になる。 マスキング材料の縁の下のアンダーカットδは、次式 δ = 6 D S = 6 R 100 T R 100 / R 111 = 6 T R 111 {\displaystyle \delta ={\frac {{\sqrt {6}}D}{S}}={\frac {{\sqrt {6}}R_{100}T}{R_{100}/R_{111}}}={\sqrt {6}}TR_{111}} で与えられる。ここでRxxxは
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