生物学上の分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/27 19:02 UTC 版)
「ロッキートビバッタ」の記事における「生物学上の分類」の解説
英語圏における一般名の「グラスホッパー」(英: Grasshopper) は、バッタやイナゴなどの総称である。このグラスホッパーは通常、温帯地域を中心に単体で生息しているものの、何らかの理由で大量発生し、群れを成して移動する時期がある。このような相変異を起こしたグラスホッパーのことを、特に「ワタリバッタ」(英: Locust) と呼んでいる。ロッキートビバッタもこのワタリバッタの一種である。 生物学的には、グラスホッパーはバッタ目 (Orthoptera) に属しており、バッタ目全体は以下のように分類される。 バッタ目 (Orthoptera)バッタ亜目 (Caelifera)バッタ下目 (Acrididea)バッタ上科(英語版) (Acridoidea)フキバッタ亜科 - ロッキートビバッタの属するMelanoplus以外に、ミヤマフキバッタ属 (Parapodisma)、タイリクフキバッタ属 (Sinopodisma)、サッポロフキバッタ属 (Podisma)、ハネナガフキバッタ属 (Ognevia) などが分類される。 トノサマバッタ亜科 ショウリョウバッタ亜科 イナゴ亜科 など クビナガバッタ上科 (Eumastacoidea)(英語版) Locustopsoidea上科 セミバッタ上科 (Pneumoroidea)(英語版) オンブバッタ上科 (Pyrgomorphoidea)(英語版) Tanaoceroidea上科 ヒシバッタ上科 (Tetrigoidea) Trigonopterygoidea上科 ノミバッタ下目 (Tridactylidae)(英語版) キリギリス亜目 (Ensifera) - スズムシ、キリギリスなど含む7つの上科で構成 ロッキートビバッタの分類と命名は紆余曲折の歴史を辿ったことから、参照する文献の年代や著者によって、ロッキートビバッタを指し示す用語が異なる。 ロッキートビバッタは当初、Caloptenus spretusというラテン語名で呼ばれていた。1866年、昆虫学者のベンジャミン・ダン・ウォルシュ(英語版)は、「ウーラー氏 (Mr. Uhler) が生物学上の論文記載なしで」命名し、かつ「spretusは『忌み嫌われている』との意味であり、当時の昆虫学者から実際に忌み嫌われ、見過ごされてきた」として、Caloptenus spretusの概要を論文に記している。ウーラーは当時、グラスホッパーの標本を収集・保管する際にこのspretusという名称を使っており、他の昆虫学者たちに標本を提供していた。12年後の1878年の文献上では、同じく昆虫学者のサイラス・トーマスがCaloptenus spretusの命名者は自分であると主張している。しかしながら後の研究者たちはトーマスの記載など手続上は不十分であり、かつウォルシュが1866年に論文記載したとして、ウォルシュを命名者と認めている。 現在使われているMelanoplus spretusの学名 (つまりCaloptenus属からの付け替え) は、昆虫・古生物学者サミュエル・ハバード・スカダー(英語版)の1878年論文で使用されている。後述の通り、スカダーは多数のグラスホッパー標本を集めて研究し、Melanoplus属の大々的な再分類を1878年に行っている。 ロッキートビバッタと他種との区別・混同もたびたび起こっており、古くは1875年のチャールズ・バレンタイン・ライリー論文に見られる。ライリーはCaloptenus atlantisの名で論文記載を行っているものの、後にこれはロッキートビバッタの矮小型 (小型個体) だと判明している。また20世紀に入ってからも、Melanoplus sanguinipesが群生相に相変異したのがMelanoplus spretus (ロッキートビバッタ) であると主張する学者が複数存在した。さらにMelanoplus sanguinipesがMelanoplus mexicanusと混同された時期もある。最終的には、GurneyとBrooksの1959年共著論文によって、ロッキートビバッタはMelanoplus sanguinipesとは別種だと結論付けられている。
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