瓔珞百合とは? わかりやすく解説

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フリチラリア (瓔珞百合)

Fritillaria imperialis

●「クロユリ黒百合)」と同じ仲間ですが、この属の中でもっとも美しということで、学名に「帝王の」がつけられました。和名を「ヨウラクユリ」といいますが、瓔珞とは、仏具釣り鐘型をした飾りのことです。
ユリ科バイモ属多年草で、学名Fritillaria imperialis。英名は Checker lily
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瓔珞百合

読み方:ヨウラクユリ(yourakuyuri)

フリティラリア・イムペリアーリスの和名


ヨウラクユリ

(瓔珞百合 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/01 10:26 UTC 版)

ヨウラクユリ
黄色いヨウラクユリの花
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉植物 monocots
: ユリ目 Liliales
: ユリ科 Liliaceae
: バイモ属 Fritillaria
: ヨウラクユリ F. imperialis
学名
Fritillaria imperialis (L.)
シノニム

Fritillaria aintabensis Post, Fritillaria corona-imperialis Panz., Fritillaria corona-imperialis Gaertn., Fritillaria imperialis var. longipetala auct. , Fritillaria imperialis var. maxima Eeden, Fritillaria imperialis var. rubra-maxima auct., Imperialis comosa Moench, Imperialis coronata Dum.Cours., Imperialis superba Mirb., Lilium persicum E.H.L.Krause, Petilium imperiale (L.) J.St.-Hil., Petilium imperiale Jaume[1]

和名
ヨウラクユリ[2]、フリチラリア[2]、フリチラリア・インペリアリス[3]、オウカンユリ[4]
英名
crown imperial[5], imperial fritillary, Kaiser's crown
マキシマ・ルブラ

ヨウラクユリ(瓔珞百合[2][6]学名Fritillaria imperialis[2])は、ユリ科バイモ属植物[7]。別名はフリチラリア[2]フリチラリア・インペリアリス[3]オウカンユリ(王冠百合)[4]

特徴

クロユリアミガサユリ(バイモ)と同じバイモ属の植物で[8][3]、バイモ属はユーラシア大陸から日本列島北アメリカ大陸に至るまで約80種があり多くの種が観賞用植物として栽培されている[8]。ヨウラクユリもその1種である[6]

球根性の多年草で、高さは60 cmから[2][7][9][10]1 mに達する[2][11]は肉質で[7][10]下方に光沢のある葉を何段かに分けて付け[7][9]、茎の先端に多くの葉と花を付ける[5]。葉は幅2.5 cmほどで平滑である[10]

鐘形の[7]花は直径4 - 5 cmで[6]散形花序となり[7][12]、色は黄色[2][5][6][7][9][11]、黄褐色[12]レンガ赤色[2][3][11]えび茶色[12]、濃紅色[5][3]、橙赤色[7]などで、園芸用品種としては多様な色がある[5][6]。7 - 8個の花がかたまって咲く[9]。(20個ほど花を付けるものもある[13]。)美麗な花であるが有毒である[12]花被は6つで卵形または長楕円形[10]、長さは3.5 - 5 cmほどで[10]内側基部は黒い[12][7]が、白くて大きい蜜腺が目立つ[12]おしべは花被より長く6本ある[10]

黄色味を帯びた[7][10]鱗茎は縦断すると、中から芽を持った同じような鱗茎が出てくる[12]。鱗茎は鱗片葉の葉腋に新たな鱗茎を作りながら新個体を形成する[14]染色体数は2n=24[5][13]で、1 - 12の過剰染色体を持つ[13]。なお鱗茎は食用とすることができる[5]が、悪臭を持つ[3][7]

品種に銅紅色のオーロラ、紅色のマキシマ・ルブラ、黄褐色のオレンジ・ブリリアント、黄色のマキシマ・ルテアなどがある[13]

名称

和名のヨウラクユリは、下垂した花を釣り鐘型をした仏具の飾りの瓔珞(ようらく)にたとえたものである[5][15]。種小名のインペリアリス(imperialis)は「帝王の」の意で[3][7][9]、バイモ属で最も優れていることを意味する[13]

ヨウラクユリ、フリチラリアともにバイモ属の総称としても使用される[2]

分布

小アジアからインドにかけて[5]西アジアからパキスタンにかけて[6])が原産地である。自生地はイラン[7][12]アフガニスタン[12]トルコ[7][12]、西ヒマラヤ[12]、インド[7]。自生種の鱗茎は地中深くに存在する[11]

イラン・ファールス州のヨウラクユリ群落

栽培と文化

ジョン・エドワーズの描いたヨウラクユリ

ロックガーデンには適せず、花壇に植えるか切り花にするのに向いている[11]。球根を植える際は深めに植え、排水性・保水性に優れた有機質を含む土に植えるとよい[11]耐寒性に優れるが、強い光、高温、乾燥に弱く、半日蔭で育てるのが良いが、光が弱すぎると着花や球根肥大が悪くなる[11]。球根以外に鱗片繁殖も可能である[11]

さび病やウイルス病が発生することがある[11]

ヨーロッパでは古くから観賞用植物として栽培されてきた[6]。ヒマラヤからイスラム圏を経て中世の末に南ヨーロッパへ入り、ルネサンス期に北ヨーロッパまで広がった[9]。例えば、ウィーンには1576年に「ペルシアン・リリー」として伝えられた[13]。ヨーロッパでの繁殖能率はあまり高くない[9]

ヨーロッパに伝来して以降、貴重な園芸品種として愛好され、フィンセント・ファン・ゴッホをはじめとして多くの画家が描いている[13]5月4日誕生花とされ、花言葉は「天上の愛」[16]

日本における栽培

日本での栽培は難しく[13]、何度か輸入されているものの繁殖能率はあまり高くない[9]。「趣味の園芸」による栽培難易度は5段階中4である[15]

日本には1872年(明治5年)から1873年(明治6年)にかけて伝来した[3][13]。早春に咲く花として評価されており[3]、秋に球根を植えると、4月中旬から下旬に開花する[3][11]。ただし開花まで4 - 5年を要する[11]。6 - 7月になると地上部が枯れて休眠する[15]。3 - 4年であれば植え放しもできるが、夏季に地温が高くなりすぎる地域(関東地方以西の平坦地[13])では球根を取り出して冷暗所に保存し、秋に植え直す[11]

脚注

  1. ^ The Plant List
  2. ^ a b c d e f g h i j 日外アソシエーツ株式会社 編 2016, p. 579.
  3. ^ a b c d e f g h i j 本田・林・古里 監修 1984, p. 571.
  4. ^ a b フリチラリア・インペリアリス”. ミヨシグループ. 2018年7月12日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i 堀田ほか 編 1989, p. 468.
  6. ^ a b c d e f g 週刊百科編集部 編 1997, p. 21.
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 林・古里 監修 1986, p. 320.
  8. ^ a b 週刊百科編集部 編 1997, pp. 20–21.
  9. ^ a b c d e f g h 塚本 監修 1984, p. 593.
  10. ^ a b c d e f g 宮沢 1963, p. 323.
  11. ^ a b c d e f g h i j k l 坂西 1986, p. 313.
  12. ^ a b c d e f g h i j k ノバク 1967, p. 464.
  13. ^ a b c d e f g h i j 塚本 1973, p. 55.
  14. ^ ノバク 1967, pp. 464–465.
  15. ^ a b c 島田有紀子. “フリチラリアとは - 育て方図鑑”. みんなの趣味の園芸. NHK出版. 2018年7月12日閲覧。
  16. ^ 主婦の友社 編 2016, p. 71.

参考文献

外部リンク



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