環太平洋戦争終結後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 04:05 UTC 版)
環太平洋戦争の終結後、オーシア・ユークトバニア両国の関係は修復され、繁栄を謳歌することとなる。ユークトバニアが一次産品の輸出国拡大や造船事業の多角化によって歳入を伸ばしていく一方、オーシアは情報通信、金融サービス、軍事、そして宇宙開発といった分野で他の追随を許さない成功を収めていた。 一方、ユージア大陸では大陸戦争に勝利したISAF(独立国家連合軍)の母体となった大陸諸国間経済同盟が、旧エルジア共和国との講和条約締結後も、主要加盟国でISAFの設立を主導したFCU(中央ユージア連合)を中心としてユージア大陸各国を束ねていた。しかし軍事同盟であったISAFが発展的解散を遂げ、平和維持機能を国連に引き継いだ頃から難民問題が再燃。各地での発電所再稼働に関連するエネルギー問題もそこに折り重なり、それらに対処できない大陸諸国間経済同盟は求心力の低下により加盟国の離脱が相次いだ。国家間格差は広がる一方で、復興を超えた施策が必要なことは明らかだった。 そこでエネルギー問題の解決策として「宇宙太陽光発電」が注目される。これは静止軌道に太陽光発電衛星を建造し、そこで発電された電力をマイクロ波に変換し地上のレクテナ(受電施設のアンテナ)へ送信、これを再び電力に変換するという方式で、中継衛星を介せば夜間でも安定的に地上への電力供給が期待でき、無尽蔵の電力をほぼ24時間365日にわたって利用できるというものであった。 こうして、オーシアのビンセント・ハーリング政権の主導の元、2011年にISEV(国際軌道エレベータ公社)が設立。旧エルジア共和国からの割譲ではない唯一の独立国家で、当時多国籍企業体の資本投下によって急速な発展を遂げていたセラプラタ沖20kmのクレーター部に開発基地となる人工島「アースポート」を建造し、70ヶ月の工程を経て軌道エレベータを建造した後、赤道上空高度36000kmの静止軌道に太陽光発電衛星を建造し、宇宙太陽光発電を開始。ユージア大陸全土への公平かつ恒久的なエネルギー資源の供給を図ることとした。 なお、初期投資費用と基礎技術の供与はオーシアが担っていたが、専門分野の研究や労働人材の確保は基本的にユージア内部で行うとされた。これには、「被災地にカネだけばらまいているだけではもはや復興支援にならない」「軌道エレベータを『メード・イン・ユージア』としたい」などのオーシアの思惑があったとされている。 なお、巨大な軌道エレベータはテロリストの恰好の標的となることが明白だったため、オーシアを主体とする平和維持軍の駐留拠点増加や新たな防衛機能の整備計画も公表された。これを機にエルジアでは市民による反対運動が激化したが、講和後の暫定自治時代だったエルジア政府には軌道エレベータ建造を拒否する権利はなく、自国そのもののあり方を見定めるほかなかった。
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