特殊部隊の突入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 08:11 UTC 版)
朝から機会を伺っていた警察は、人質の見張り役が前夜外出した行員と交代した直後、突入準備を開始した。トイレに来た行員から「今回はチャンスがあると思うので合図しますからよろしく」との伝言を受け、大阪府警察本部警備部第二機動隊・零中隊(SAT前身部隊)に待機させた。直後、梅川の至近距離にいて射撃の際に被弾する可能性のあった女性行員がお茶を入れるために離れた。のぞき穴から監視していた警察官からの報告を受け、吉田本部長は強行突破を指示した。零中隊員7名は、トレーニングウェアを着用して匍匐前進で侵入した 。 1月28日午前8時41分、警察の作戦を知らされていた唯一の男性行員が、新聞を読みながら居眠りをし猟銃から手が離れていた梅川を確認、警察に掌を上下させ合図した。その直後、7名の零中隊員が人質に「伏せろ!」と叫ぶとともにバリケード代わりのキャビネットの隙間からカウンター内に突入する。零中隊員は拳銃 で計8発を発射し、そのうち3発が梅川の頭と首、胸に命中、梅川は床に崩れ落ちた。担架で固定された瀕死の梅川を逆方向にして、前を救急隊員、後ろを刑事が担いで運び出すが、救急車にたどりつく寸前で後方の刑事が転倒した。梅川は天王寺区の大阪警察病院に搬送、意識不明の重体であったが脳波は確認され、2600㏄の輸血と銃弾の摘出手術を受けるも、右の頸部の貫通銃創が致命傷となり同日午後5時43分に死亡が確認された。梅川は人質に自分の服を着せて、弾を抜いた猟銃を持たせるという偽装を行い、自身は人質の服を着て人質の中に紛れ込み「人質解放や!」と叫んで混乱に乗じ脱走する計画を練っていたが、これは警察に見抜かれていた。 この事件の解決のため、大阪府警察本部刑事部は、現地本部に100名を派遣。時間外勤務手当6000万円、給食費220万円、梅川の入院治療費90万円など1億800万円の費用が投入された。殉職した二名の警察官には警察以外に内閣総理大臣と関西財界から2000万円が贈られたほか、一般人3000人から3000万円が寄贈された。
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