特定海域・領海の自己制限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 13:55 UTC 版)
「非核三原則」の記事における「特定海域・領海の自己制限」の解説
日本政府ら国際海洋法による非核三原則適応不可配慮のため、特定海域を5つ設定し、領海の意図的縮小を行っている。領海を12海里とする主張が世界的に優位になったことを受け、日本は1977年(昭和52年)に領海法を制定し、これまでの3海里の幅の領海を12海里に拡張した。この立法趣旨に従えば5海峡(宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、同西水道、大隅海峡)は領海が12海里になるはずだが、この5海峡にかぎって3海里に留められている。その理由は非核三原則にあるという証言が元外務事務次官により共同通信になされている。仮に、この5海峡の領海幅を3海里から12海里にしてしまうと、5海峡は完全に日本の領海になる。一方、国際法(海洋法条約38条2)では、国際海峡における外国の船舶及び航空機の通過通航権が認められている(それは核兵器を搭載した外国の軍艦あるいは軍用機であっても同じである)。とすると、核兵器を搭載した外国の軍艦が当該海峡を通過する場合、日本は国際法上、軍艦の通過は拒否できず、結果として領海内に核兵器が持ち込まれたこととなり、非核三原則の「持ち込ませず」の原則を堅持できなくなるのである。そこで、海峡上に領海に含まれない海域を残し、核兵器を搭載した軍艦をこの海域上を通航させることによって、こういった事態に対処しようとしたのである。 2021年10月、日本と軍事的に対立関係にある中国やロシアの軍艦が本州と北海道の間にある津軽海峡を堂々と通過した。神戸新聞はこれを疑問に思った人々に対して、津軽海峡は日本政府が非核三原則のために特定海域と設定し、その中央部分を公海としているため、中露海軍の航行は国際法上問題なくなってしまっていると報道している。領海の場合は外国の軍艦は安全や秩序を害さない限り無害通航のみ時のみ他国の領海を航行することは可能なのだが、公海となっているため有害通行も可能になってしまっていること、中露による日本周辺での牽制が今後も続くため、日本人は海洋覇権で想起しがちな南西諸島以南だけでなく、本土周辺でも大きな問題になってくることを強く意識した方が良いと警告している。
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