特定の企業・団体名や商品名など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 00:01 UTC 版)
「表現の自主規制」の記事における「特定の企業・団体名や商品名など」の解説
上述の例は概ね、日本独特のものであるが、特定の企業・団体名や商品名などについての取り扱いの制限などは各国の法の下、世界的にマスコミで広く行われている規制の代表である。以下、放送を例にして述べる。 例えば日本の「公共放送」であるNHKでは、その番組基準第12項の規定により、事件・事故報道や、社会的に大きな影響がある話題の報道を除き、全ての番組で、特定の企業・団体名や商品名を出さないように極力配慮される。過去、楽曲についても規制されていて、音楽番組レッツゴーヤングでは、山口百恵の「プレイバックPart2」中の「真っ赤なポルシェ」を「真っ赤なクルマ」に置きかえて歌わさせたり、NHK紅白歌合戦でも該当するものについては、同様の措置がとられていた。 この規制は、NHKが「公共放送」としていることから、特定の企業・団体・商品がその放送により有利なものとならないようにするための配慮により設けられているものであるが、これ以前の問題として、NHKといえども、日本の商標法などによる規制を受けるためでもある。 商標法は各国によって異なること、また商標法は各国内においてそれぞれ有効であることなどから、NHKとの共同制作番組の多いイギリスのBBCは、娯楽番組も含めて、特定の企業・団体名や商標を特に隠したりはしない。一方、台湾では国営放送のみならず、放送においては通常、隠すのが一般的である。また米国では例えば日本で商標登録がなされていても米国で登録のなされていないものについて「TM」と表記することは違法となるため、この部分のみ隠すといったことがなされるが、責任の所在はあくまでも商標権者にあるので、商標権者の責任において規制されるのが一般的である。なお会社・団体名についても登録商標とすることができるため、今日、会社・団体名も商標登録されていることが多く、これらは商品名と同じ扱いとされる。 一方、「商業放送」である民間放送局ではその番組内でも特定の企業・団体名、商品名の使用がなされる。しかしその使用についてはあらかじめ商標権者の許可を受けて行なう、あるいはCM、すなわち他のスポンサーとの関係を図るなど、むしろその取り扱いは国営放送あるいは公共放送よりも複雑かつ慎重である。例えば日本では、ある自動車会社がその新型車に独自の新技術を投入し、売上をのばしているという話題を番組中で取り上げた場合、その番組に他の自動車会社がスポンサーとしてついている場合、そのCMについてはスポンサーと協議(具体的な放送内容をスポンサーに示して協議するのではなく、スポンサー契約時に特定の企業・団体を指定せず「番組中、同業他社の話題を取りあげ、その商品を取りあげた場合には~」といった取り決めがなされる。)の上で放送するといった細かな配慮がなされる。なおこのようなCMの自主規制は、スポンサーの広告効果を高めるための民間放送局の商取引(サービス)として積極的に行われる例でもある。なおCMには「不公正取引の防止」「消費者保護」「行政施策の必要性」などの観点からさまざまな規制が実施されている。 最近では、NHKでもドラマのシーンでコカコーラを飲むシーンがあったり、ラジオ放送で、放送中であるUHF系列のアニメのアニメソングをアニメタイトル紹介有りで放送することもあるようになっている。(前者はだんだん後者は今日は一日○○三昧)一方、経営難に陥っている民間放送局では商標権者の許可がとれないために、商標を隠して放送することも増えている。 なお、具体的にどのような自主規制やタブーが存在するのかは、報道におけるタブーに、より詳細な内容が記載されているので参照されたい。
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