漁の方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 15:41 UTC 版)
出漁 小型鯨類の追い込み漁は、例年9月1日に解禁される。海域は沿岸から15マイル以内。通常は発見情報なしに毎日出漁する。十数隻の漁船で早朝、太地港を出船する。1-2時間かけ、探鯨される。沖合でハンドウイルカなどの群れを発見すると、船団はフォーメーションを組んで、鉄パイプで海面を叩くなどして音を出して、捕獲網を仕掛けた畠尻湾に追い込む。追い込み時間は1時間から、丸一日を要する場合もある。ベテランが追跡中の鯨類を挟んだ船間の距離や、どの船が威嚇音を鳴らすかなど指示する。ベテランの漁師は、海面から出るクジラの尾の方向から、クジラが次に浮上する場所が読める(予想できる)といわれる。 捕鯨船は5-9.9トンの小型グラスファイバー船で、音を出して鯨類を威嚇する者と舵を取る者の2名が一艘に乗る。 捕獲成功率は、イルカ類は種類によっては高い捕獲率を示すが、ゴンドウ類はオキゴンドウが約2割など、ゴンドウ類はイルカ類に比べ捕獲が難しいと結論されている。 2006年、"腹びれイルカ"として知られる「はるか」も、いさな組合により水揚げ(生体捕獲)された。 捕獲頭数の調整 いさな組合は300頭追い込んだとしても100頭余りしか捕獲せず、残余は逃がす。これは値崩れの防止や、資源保護の意味がある。 解体 湾を天然のいけすにして追い込んだ小型鯨類は、内臓を取り除き血抜きされ、市場に出荷される(家畜、狩猟動物、と同様である)。解体は陸上で行う。解体の所要時間は、イルカ類は5-10分、ゴンドウ類は15分程度。原則として、イルカ類は一頭丸売り、ゴンドウ類は部位ごとに入札となる。 捕殺については、苦痛がなるべく少なくなるよう、「脊髄切断法」に2000年ごろから取り組む。過去には、湾が血で赤くなったが、太地では2008年から、フェロー諸島の捕鯨を参考に、血が出ない形に改善した。 水族館などへ 追い込み漁は、生きたまま捕獲できるため、水族館などへも販売される。飼育用の小型鯨類、例えばハンドウイルカでは、「雌でかつ体長が2.45 - 2.55 メートルの個体」などの条件があり、水族館販売用の小型鯨類は条件を満たすのが困難とされる。
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