液晶シャッターめがね
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/11 14:40 UTC 版)
「3次元ディスプレイ」の記事における「液晶シャッターめがね」の解説
左右異なる角度から撮影した映像を交互に再生し、左右の視界が交互に遮蔽される液晶シャッターを備えた眼鏡で見る。眼鏡のシャッターが2つの映像と完全に同期して開閉することで右目と左目にそれぞれ右側の映像と左側の映像だけが見え、立体感が得られる。動画であれば通常の2倍の頻度で画像の書き換えが必要である。「フレーム・シーケンシャル方式」と呼ばれる。 3D映画や大画面テレビなどでの採用が多いが、液晶シャッターや画像と同期する仕組みを備えた眼鏡が高コストであり、標準化が進んでいないため複数の規格同士で眼鏡が異なるという問題もある。 技術 大画面薄型テレビでの立体動画の再生では、液晶ディスプレイとプラズマディスプレイによる高フレームレートでの動画再生と液晶シャッター付き眼鏡によって立体感が得られるものが多い。プラズマディスプレイは多くの動画画像のフレームレートである60Hz(1秒間に60枚の画像)に対して単純に2倍の120Hzへと倍増することで液晶シャッターめがねに適した立体視用の動画が得られるが、液晶ディスプレイでは4倍の240Hzほどにしなければならない。これは、プラズマディスプレイが「インパルス表示方式」であり全画素が同時に短時間だけプラズマ放電してから消灯するのに比べて、液晶ディスプレイが「ホールド表示方式」であり、画面の上から順番に書き換えて行き、次の書き換え時まで同じ表示状態を維持するという原理的な違いによって生まれている。液晶ディスプレイでは右目用画像の描画が終わってから左目用画像の書き換えを画面上から行うが、眼鏡の液晶シャッターは左右の視界を全開にするか全閉にするだけであり、2つの画面の書き換え途中で右目、または左目の視界を開けていると2つの画像が上下で混在したまま見える(3D動画での)「クロストーク」と呼ばれる現象が起きる。これを避けるために、3D動画再生が行える液晶ディスプレイでは4倍のフレームレートである240Hzにして、画像の書き換え中は両眼の視界を閉ざすものが多い。LEDバックライトを使用するディスプレイでは眼鏡の全閉に代わって背面発光を消灯することで消費電力を低減するが、クロストークを回避するためにフレームレートを高める必要があるのは変わらない。プラズマ式と液晶式のいずれの表示装置でも左右の目は片方が画像を見ている間に他方は残像を感じているだけであるため、概ね感じられる明るさは半減するとされる。眼鏡では液晶パネルを経由することで明るさが1割ほど失われるとされることに加えて、液晶ディスプレイではほぼ表示時間と同じ時間、左右の視界を遮る必要があり、さらに明るさが半減するとされる。このため液晶ディスプレイでは、2D動画の再生時に比べて3D動画では、表示画素ごとの書き換え速度を4倍程度高めるだけでなく4倍以上の明るさが求められるとされる。
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