消化管間質性腫瘍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 03:24 UTC 版)
RCCと同様、消化管間質性腫瘍(GIST)も標準的な化学療法や放射線療法には反応しない。イマチニブは、転移性GISTに有効である事が証明された最初の抗癌剤であり、この稀ではあるが困難な疾患の治療において大きな進展を齎した。しかし、患者の約20%がイマチニブに反応せず(一次抵抗性)、初期反応した患者のうち50%が2年以内にイマチニブの二次抵抗性を獲得して病状が進行する。スニチニブが登場する前は、イマチニブに抵抗性を示した患者には治療の選択肢がなかった。 スニチニブは、イマチニブ抵抗性のGIST患者に、病状の進行を食い止め、場合によっては病状を回復させる新しい治療法を提供する。これは、大規模な第III相臨床試験で示されている。この試験では、イマチニブ治療に失敗した患者(一次抵抗性、二次抵抗性、または不耐症の為)に、スニチニブまたはプラセボの何れかを無作為に盲検化して治療した。 この試験では、スニチニブの有効性が明らかになった為、最初の中間解析で早期に盲検化が解除された。その際、プラセボを投与されていた患者にスニチニブへの切り替えを提案した。本試験の主要評価項目(ドイツ語版)である無増悪期間(TTP)の中央値は、スニチニブ(27週)の方がプラセボ(6週)よりも4倍以上長くなった(P<0.0001)。これらは、独立した放射線医学研究所の評価に基づいている。スニチニブの有益性は、事前に規定した多数の背景因子で層別化しても、統計的に有意なままであった。 副次評価項目(ドイツ語版)の内、無増悪生存期間(PFS)の差はTTPの差と同様であった(24週対6週、P<0.0001)。また、スニチニブ投与群の7%が腫瘍の著しい縮小(客観的奏効)を示したのに対し、プラセボ投与群では0%であった(P=0.006)。さらに、スニチニブ患者の58%が病勢安定化を示したのに対し、プラセボ患者では48%であった。スニチニブによる奏効までの期間の中央値は10.4週間であった。スニチニブは、病勢進行または死亡の相対リスクを67%減少させ、死亡のみのリスクを51%減少させた。生存利益の差は、プラセボ患者が病勢進行時にスニチニブに移行し、これらの患者の殆どがその後スニチニブで奏効した為、希釈されている可能性がある。 スニチニブの忍容性は比較的良好であった。スニチニブ患者の約83%が重症度を問わない治療関連の有害事象を経験し、プラセボを投与された患者では59%であった。重篤な有害事象は、スニチニブ患者の20%、プラセボ患者の5%で報告された。有害事象は概して中程度であり、投与量の減量、投与の中断、その他の治療によって容易に対処出来た。有害事象により治療を中止したのは、スニチニブ患者の9%、プラセボ患者の8%であった。 疲労は、スニチニブ治療で最もよく発生する有害事象である。本試験では、スニチニブ患者の34%がいずれかのグレードの疲労感を報告したのに対し、プラセボ患者では22%であった。グレード3(重度)の疲労の発生率は両群間で同程度であり、グレード4の疲労は報告されなかった。
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