海外での生産・整備施設
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 06:07 UTC 版)
「F-35 (戦闘機)」の記事における「海外での生産・整備施設」の解説
大量の製造が見込まれるため、米本国のテキサス州フォートワース工場以外ではイタリアのカーメリと日本の名古屋近郊にFACO(最終組立・検査:Final Assembly & Check Out)施設が設置されている。また、ステルスを始めとした各種性能の維持やブラックボックス等のロッキード・マーティンしか触ることのできない部分のメンテナンス・修理、オーバーホール、今後のアップグレード作業を目的とした国際整備拠点MRO&U(Maintenance Repair Overhaul and Upgrade)の設置が予定されており、米本国、欧州ではイタリア、アジア圏では北半球に日本、南半球にオーストラリアが検討されている。運用機数の多い欧州では、これらのMRO&U拠点で十分な運用体制が確立できない場合、追加でイギリス、オランダ、ノルウェーにもMRO&U拠点を設置することになっている。一方でF-35を導入予定の韓国では日本での整備を拒否しており、ロッキード・マーティン社から重整備を国内のみでできるとの説明を受けたとしていたが、2014年に韓国向けの整備をオーストラリアで行うことが報じられた。 2013年7月17日にはイタリアのカーメリ工場のFACOが米本国に次いで稼働。このFACOは、イタリア国防省が保有しており、アレーニア・アエルマッキとロッキード・マーティンが運営する。今後イタリア空軍及び海軍が運用するすべてのF-35A/Bをノックダウン生産(契約条件で順次ライセンス生産に移行する場合もある)する能力を持ち、オランダ軍向けの機体等の海外へ販売される機体の製造も行う。また、アメリカ国防総省から欧州地域におけるMRO&U拠点にも指定されている。他にも、翼の生産も行っており、完成品はロッキード・マーティンのフォートワース工場に納品されている。 2015年12月15日には日本の三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場(愛知県西春日井郡豊山町)のFACOが稼働。ノースロップ・グラマン製の中央部胴体、ロッキード・マーティン製の前部胴体・コックピット・主翼、BAEシステムズ製の後部胴体、IHIのノックダウン生産したエンジンを組み上げ、エレクトリック・メイト&アッセンブリー・ステーション(EMAS)での工程を経て機体をロールアウトする。また、2014年にアメリカ国防総省からアジア地域の北半球を担当するMRO&U拠点をここに設置することが発表された。2017年時点で生産されているのはA型のみで、初期に後部胴体を含む4割近いライセンス生産も検討されたが、三菱重工業側が採算性の問題から拒否しており、国内生産は部分的なパーツに留まっている。 搭載されるF135ターボファンエンジンは、米本国のコネチカット州ミドルタウン工場とフロリダ州ウエスト・パームビーチ工場で製造されているが、日本のFACOでの使用分はプラット・アンド・ホイットニーからIHIが請け負っており、2017年3月28日にF135専用施設が瑞穂工場(東京都瑞穂町)内で稼働。この施設では組立と試運転が可能で、防衛省はF-35を年に6機程導入する計画のため、これに合わせて年間6基前後の生産能力を持っており、一部部品は相馬工場(福島県相馬市)と呉第二工場(広島県呉市)等で生産される。これらの工場は将来MRO&U拠点が設置される際のエンジンの担当も期待されている。エンジン組み立て工場は他にもMRO&U拠点が設置予定のイタリアにも建設が検討されている。
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