海外での演歌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 23:35 UTC 版)
台湾では、戦前に日本語教育を受けた世代が日本の歌を好んで聴いたことから、台湾人歌手によって日本の演歌が歌謡ショーなどで歌われてきたほか、台湾語によるカバーも数多く出現し、日本でヒットした演歌の大部分は台湾語(一部は、国語 (中国語)である北京語)でカバーされる状況が続いてきた。また台湾で作曲されたオリジナル演歌も多く、その題材や歌唱法は日本の演歌と変わらない。台湾歌謡界では戦後長らく、ポップス=北京語、演歌=台湾語という言語による棲み分けが続いたため、演歌は「台語歌」とも称される。日本で演歌の衰退が言われる現在でも、台湾では演歌の人気は依然として高く、テレビでは演歌中心の歌謡番組が定期的に放送されており、日本語の原曲と台湾語のカバー曲を交互に歌唱するなどの演出も一般的である。 シンガポールやマレーシアを中心とした東南アジアには、中国系の住民が多く、それらのうち福建系の住民は台湾語とほぼ同じ言語(閩南語)を話すため、台湾語でカバーされた日本の演歌や台湾語のオリジナル演歌が「福建歌」「Hokkien Song」として普及しており、現地の作詞家によってオリジナルの歌詞を付けられたカバーも存在する。インド系の歌手で、福建歌=演歌の歌唱をメインに活動している者もいる。また、これらの演歌はタイ語、ベトナム語、クメール語、マレー語、インドネシア語など、現地の言語で再びカバーされた曲もあるが、一般に「チャイニーズ・ソングのカバー」と認識されている。 中国では、テレサ・テンなど台湾の歌手が国語 (中国語)でカバーした日本の演歌が広く浸透しているが、これらの演歌は一般に台湾の歌として認識されており、「台湾歌」と呼ばれている。また1980年代には北国の春を中国の歌手がカバーし、流行したこともあった。 韓国では、日本統治期に入ってきた演歌から派生したとされるトロットというジャンルがある(演歌というジャンル名自体は、日本統治期に存在しなかったものの、演歌調の歌はあった)。 アフリカ系アメリカ人のジェロは幼少期に、日本人だった祖母から演歌に親しみ、2008年に日本で演歌歌手としてデビューした。 2007年、ブラジルのサンパウロにて行われた日系移民100周年記念イベントでは、日本の音楽として演歌が流された。また大城バネサや南かなこのような南米出身の日系演歌歌手もいる。
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