津波の高さ、組成と被害の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 00:12 UTC 版)
「津波」の記事における「津波の高さ、組成と被害の関係」の解説
陸上での浸水高と被害の関係について、東北地方太平洋沖地震の被災地での調査によると、浸水高が2 mを超えると木造家屋の構造破壊が発生し始め全壊率が急増するとともに建物全体の流失率が増え始め、さらに4 mを超えると木造家屋の多くが流失するという結果が出ている。 一方、津波警報等が対象とする、海岸での波高と被害の関係について、東北地方太平洋沖地震や2010年のチリ地震における日本の被災地での調査によると、 船舶や漁業施設の被害は、波高数十cmでも発生する。 海岸堤防の外側にある港湾施設や港湾道路では、波高0.7 m程度(T.P.+1.3 m程度)から冠水被害が発生している。 住宅被害は、T.P.+1.0 m程度以下(概ね波高1 m未満)では海岸堤防の内側の居住地域には浸水が及ばないが、波高1 - 2 m程度から床下浸水がみられ、波高3 m程度から全壊・流失が出始め、5 - 6 m程度から被害率が急増する。 人的被害は、波高2 m程度から出始め、4 - 5 m程度から被害率が急増する。 ただし、波高1 m前後の津波では、干潮・満潮による潮位の変化が加味されて予想を上回る(下回る)被害となる可能性がある。 以上のような傾向が報告されている。 津波の高さと被害の程度の目安(首藤(1992,1993)、および気象庁改変 に追記)浸水高 m0.2 0.5 0.7 1 2 4 8 16 32 木造家屋 (漂流物の直撃によって被害が出る場合がある) 部分的に破壊される 全面的に破壊される。 石造家屋 持ちこたえる。 全面的に破壊される。 RC造ビル 持ちこたえる。 全面的に破壊される。 防潮林 漂流物を阻止し、被害は軽微。 漂流物を阻止し、被害は部分的。 効果がなく、被害は全面的。 沿岸での波高 m0.2 0.5 0.7 1 2 3 4 8 16 32 漁船 被害が出始める。 被害率50% 被害率100% 養殖いかだ 被害が発生する。 音 海鳴りや暴風雨の音のような、前面が砕けた波による連続音。 雷鳴のような、浜で巻いて砕けた波による大音響。遠くまでは聞こえない。 遠雷や発破音のような、崖に衝突する大音響。かなり遠くまで聞こえる。 浸水 海岸堤防の外側(海側)で浸水が生じうる。 海岸堤防の内側(内陸側)でも浸水が生じうる。 警報・注意報(日本) 津波注意報海の中にいる人はただちに海から上がって、海岸から離れる。 津波警報沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難。 大津波警報沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難。 津波は陸地近くでは、海底や運河、河口近くの川の底にあった土砂や泥、有機物を含むヘドロを巻き上げ、混ざり合って押し寄せる。こうした「黒い津波」は海水のみより比重が大きいため、破壊力が増す。さらに津波を呑んでしまった人や津波が引いた後の乾燥した陸地で舞い上がる粉塵を吸った人に肺炎(津波肺)などの感染症を引き起こす。
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