津波や濁流(大雨など)による被害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 13:39 UTC 版)
「水道管」の記事における「津波や濁流(大雨など)による被害」の解説
水道施設に関しては、昨今の大地震における「地震動」での振動、地盤変状、液状化などによる被害に対して「耐震化」を進めている。水道管に関しては厚生労働省により「耐震管」や「耐震適合管」が規定され、耐震化に向けた取り組みの可視化にも努めている。こうした「地震」による被災のほかの天災として、地震の二次的な被害である「津波被害」と、大雨による河川の氾濫などに伴う管路の被災もみられる。ただし、これらの被害は「地震動」による被害ではないため、これとは区別する必要がある。 津波の場合、津波で流された瓦礫により、橋梁などに添架された管路が被災する場合がある。東日本震災の例では、家屋や船舶なども濁流と一緒に流れている。また、大雨による河川の氾濫時も、大きな岩や瓦礫などが濁流により高速で管路にぶつかる場合もある。橋梁添架だけでなく埋設している管路が、地盤の洗掘により露出し、被災する場合もある。 このような場合には、「耐震管」であっても被害を被る場合がある。 例えばダクタイル鋳鉄管の場合、継手部に3DkNを超える応力がかかった場合には抜けの発生もありえるし、想定外の非常に大きな応力(瓦礫の衝突など)がかかった場合には、管が曲がる場合も想定される。また、強靭な材料であるため局部的な破断には至らないと思われるが、内外面に腐食があった場合には、肉薄となった部分への過度の応力集中で破断に至る場合(中越沖地震で発生した事例など)もある。 一方、配水用ポリエチレン管の場合にも、降伏応力(30MPa程度)を大きく超える力が加わった場合には樹脂の特性上、当然ながら破断する。「局所部位」に「急激な外力」がかかった場合には、降伏応力を超え高速引張り試験を極端なレベルで行ったのと同様、一瞬で伸び、切れる形となる。一般的な引張試験で見られるチューインガムのような「伸び」の状況には至らないが、地震動による影響とは全く異なる外力のかかり方である事に注意が必要である。 こうした瓦礫などによる被災は管材料の種類にかかわらず、耐震管路にとっても「想定以上」の自然災害といえる。非常に限定された地域や場所ではあるが、被害が想定される地域や地形においては、こうした地震動以外での自然災害にもさらされる可能性がある。どの程度までこうした箇所における防災措置を施すかについては、各事業体において、必要に応じて検討しておくとよい。 実際の被災状況については、「2017 九州北部豪雨による水道施設・道路の被害写真集」(水道産業新聞社)に被害状況が示されているほか、配水用ポリエチレン管に関しては「配水用ポリエチレンパイプシステム協会」(POLITEC)より被災報告書(ネット非公開・お問い合わせ)や被災地の動画が発行・公開されている。
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