段波
別名:ボア
英語:bore
水位の高さが異なる非連続の段のような差が生じ、段の低い側へなだれ込むようにして水が押し寄せる現象。水面の段差により生じる波。
段波が海洋上で大規模に発生した場合、大量の海水が移動して陸地に溢れる事態を招くことがある。この場合、現象としては「津波」によく似る。段波は単に波形を示す語であり、津波は海底面の変動により生じた大規模な波を指す語であって、対象は重複し得るが必ずしも一致しない。
段波は潮汐、気象現象、地形などの要因による発生することがある。河川において水門が決壊した場合、水面の高さに差があれば段波が発生する。 アマゾン川で発生する流水の遡上現象「ポロロッカ」は、潮汐に起因する段波である。
2013年11月にフィリピンに大規模な台風が上陸し、レイテ島の沿岸部などに壊滅的といえる被害をもたらした。11月18日のNHKの報道によれば、レイテ島の沿岸部の海域では、台風の強烈な風と台風通過直後の吹き返しの風によって段波が発生し、津波のようになって沿岸部を襲った可能性があるという。
関連サイト:
フィリピン 「段波」で被害拡大か - NHKニュース 2013年11月18日
ボア
段波
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/27 16:50 UTC 版)
段波(だんぱ、英語: bore)は、切り立った水の壁が進行する形態の波である[1][2]。
満潮の際、潮汐が段波となって川を遡上することがあり、海嘯とよばれる[3][4]。
津波が陸上に押し寄せたり川を遡上したりするとき、段波を形成することもある[4][5]。水深の浅い湾や平坦な川に起こりやすい[5]。
台風などによる高潮が押し寄せる際にも、段波を形成することがある[5]。
峡谷の鉄砲水の前面にも段波が観察されることがある[5]。天然ダムの決壊などにより水が一気に押し寄せる現象は洪水段波とよばれる[6]。平成29年7月九州北部豪雨では少なくとも4河川で発生、段波現象がなかった場合を想定して比較すると、流量・氾濫面積ともに大きくなったと考えられている[6]。
用水路やダムなど、人工の水路における放流などでも発生する。広くは、例えばアメリカのディズニー・タイフーン・ラグーンのようなウォーターパークの人工の波のいくつかにも段波の性質をもつものがある[5]。
脚注
- ^ 「段波」『デジタル大辞泉』小学館 。コトバンクより2018年7月19日閲覧。
- ^ 「ボア」『海の事典』財団法人日本水路協会海洋情報研究センター 。コトバンクより2018年7月19日閲覧。
- ^ 今村 2024.
- ^ a b “段波(だんぱ)という言葉を聞きました。どういう現象ですか?”. NHK そなえる防災. 日本放送協会. 2014年8月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月19日閲覧。
- ^ a b c d e Chanson 2011, pp. 4–5.
- ^ a b “「洪水段波」で氾濫域2.5倍 たまった土砂・流木の決壊起因 九大研究班が朝倉の4河川で確認”. 西日本新聞 (2018年6月28日). 2018年7月19日閲覧。
参考文献
- Chanson, Hubert (2011-09) (英語). Tidal Bores, Aegir, Eagre, Mascaret, Pororoca : Theory and Observations. シンガポール: World Scientific. doi:10.1142/8035. ISBN 978-981-4462-27-3
- 今村文彦 著「海嘯 かいしょう tidal bore」、地学団体研究会 編『最新 地学事典』平凡社、2024年3月、230頁。ISBN 978-4-582-11508-6。
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