死刑執行手続き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 01:03 UTC 版)
詳細は「日本における死刑#死刑執行までの過程」を参照 日本における死刑囚に対する刑の執行は法務大臣の命令によらなければならない(刑事訴訟法第475条第1項)。法律上、特別な理由のない限り、死刑判決が確定してから6か月以内に死刑が執行されなければならない(同法同条第2項)。ただし、実際には、一種の努力目標とされており、判例で6か月以内の執行は法的拘束力のない訓示規定とされている。また「当該命令から5日以内に執行する(476条)」と規定している。1960年以降に確定後6か月以内に執行された例はない。 死刑執行の法手続きは、法務省内部で「第四審」と揶揄される程に、慎重に行われる。この段階で闘病中や精神障害、妊娠中、心神喪失状態になっているなど刑の執行を停止しなければならない場合や、非常上告の有無、再審請求中、恩赦に相当するかどうかを慎重に確認されなければならないとされているため、死刑執行に障害があると判断されれば、執行は後回しになる。 また、刑事訴訟法475条2項但し書に「上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。」という規定がある。 共犯者(逃亡中の場合もあり)の刑が確定していない場合や、冤罪もしくは事実認定の誤りを訴えて再審請求している場合にもまた、この6か月の期間は進行しないとされている。そのため死刑執行までの期間は自動的に進行するものではなく、個々の死刑囚の事情が関与しているといえる。また、共犯者は同時に執行されることが多い(オウム真理教事件など)。 また、法務大臣の死刑執行命令(実際には法務大臣がサインするのは死刑事件審査結果(執行相当)、執行命令書の捺印は事務方)から5日以内に執行する規定であるが、実際には「死刑執行のために上申した検事長、検事正が処刑命令を受け取った日から5日以内」と現場では解釈されている。これは死刑執行命令書を受け取ったとしても刑務所側の都合で「5日以内」に準備できない場合や、一度に同じ拘置所で複数の死刑執行命令書を受け取っても実行が難しいのが理由である。 死刑判決を受けた者の「刑の執行」は、死刑執行そのもので、執行に至るまでの身柄拘束は刑の執行ではないとして、その間は、通常刑務所ではなく拘置所に置かれる。またマスコミでは、死刑確定者を「死刑囚」と呼んでいるが、既に執行された場合や、獄中で死亡した場合、もしくは恩赦の減刑、再審による無罪確定等で死刑が取消になった場合は「元死刑囚」と呼びかえるのが普通である(なお、執行されずに無罪確定の場合はさん付けもあり得る)。
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