欠点と対処法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 00:24 UTC 版)
ブルパップ方式の銃器の欠点としては、全長が短く銃把が中央に位置する形状のため伏射や弾倉交換がやりにくいこと、前方に突き出す部位が短縮されるので銃剣格闘の間合いも縮むこと、重量バランスの最適化が難しいこと、アドオン方式の擲弾発射器を追加しにくいことや、銃床の長さ調節機能を持たないモデルが多いことが挙げられる。こうした欠点に対して、ランチャーの追加を前提としたFN F2000や、6ポジション可変ストックを装備するクロアチアのHSプロダクトVHS-2など、設計段階で対処している物も登場している。 銃を構えた際に頬を着ける銃床部分に機関部が内蔵されているため、顔のそばで発生する作動音と硝煙が射手の聴力や視力に影響を及ぼしやすい。そのためFN F2000はレシーバー周辺の密閉性を高め、硝煙や作動音を銃前方の排莢口から逃がす構造として対策している。SAR21では、レシーバー左側面の射手が頬付けする位置にケブラー繊維が貼られ、万が一薬室の破裂事故が起きても射手への被害を抑える設計となっている。 また、従来の小銃のように排莢口を右側面に配置した場合、利き手や障害物への対処などで銃を身体の左に構えた姿勢になると頬の位置に排莢口がきてしまい、空薬莢が射手の顔にぶつかる危険がある。利き手に関しては、初期の教練で全員を右構えに統一する使用者側での対処のほか、ステアーAUGやタボールなどのように整備時に機関部パーツを差し替えて排莢方向を切り替え可能としたものなどが見られるが、いずれもとっさに左右を持ち替えての使用には対応していない。FN P90やKel-Tec KSGでは銃本体下部から下に排莢する方式を、FN F2000やKel-Tec 7.62mm RFBは銃口付近の前方へ排莢するフォワード・イジェクション方式を採用することで、射手の利き手を選ばない設計をしている。 全長の短縮によって照門と照星の間隔が短くなるため、遠距離での照準精度を確保できるよう、ステアーAUGやFN P90のように低倍率のスコープやダットサイト等の光学照準器を装備する機種もあるが、大型の光学照準器を使用する場合、銃本体の軽量化が相殺されてしまう場合もある。
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