椿家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 23:49 UTC 版)
「悪魔が来りて笛を吹く」の記事における「椿家」の解説
椿英輔(つばき ひですけ) 椿家当主、元子爵。フルート奏者。約半年前に43歳で自殺。色は浅黒く額が広く、髪をきれいに左で分けている。鼻が高く、眉がけわしい。女性的印象を受ける人物。妻・秌子とその兄・利彦、2人の伯父である玉虫公丸の横暴に何も言わずにいたが、「悪魔」河村治雄の存在により椿の家名が泥沼に呑み込まれる屈辱に耐えられぬと自殺した。 沈黙を守って命を絶ったが、ゲーテの小説『ウィルヘルム・マイステルの修業時代』と「屋敷の中の誰とも結婚してはならない」という言葉とフルート曲「悪魔が来りて笛を吹く」、玉虫家の別荘跡に残された石燈籠に青鉛筆の文字で「悪魔ここに誕生す」と記す等々で治雄の存在を示した。 椿秌子(つばき あきこ) 英輔の妻、40歳。大きな娘を持っているとは思えないほど若く見える、市松(いちま)人形のような美しい女性。実家新宮家の両親から可愛がられ、兄・利彦より多くの遺産を相続しており、たとえば椿家の邸宅は秌子が結婚に際して母方の祖父から譲られたものである。白痴的でひどく無邪気、かつ暗示に掛かりやすい。宝石マニヤで家計が傾いても宝石を手放そうとしないほど執着している。タイプライターは打てず、その代わり手習いが上手い。 同居している伯父・公丸や兄・利彦が夫・英輔を見下していやがらせをするのに影響されて、一緒になって無視した。自殺した夫・英輔の死亡確認を嫌がり遺体を自ら確認しなかったうえ、英輔に顔が似た飯尾に東太郎が命じて姿を垣間見させるなどしたため、「夫が実は生きていて自分に復讐に来る」という妄想に取り付かれる。16 - 7歳の頃に実兄・利彦の子(後の治雄)を妊娠し、甥と姪の醜聞を恐れた伯父・玉虫公丸の計らいにより、須磨にある玉虫家の別荘で男児を極秘分娩し、男児は里子に出された。絶えず性交渉をせねば満足できない体質で、それを抑える知性にも欠けている。新宮殺害のあと麻布六本木の邸宅から逃げ出して鎌倉の別荘へ移る準備をしていたところ、酒を飲んだ東太郎の肩の痣を鏡越しに見て怯え、台風が接近する中を鎌倉へ急行し、その直後に常備薬に仕込まれていた青酸加里で毒殺された。 お種(おたね) 椿家の女中。23 - 4歳位。美禰子よりは器量良し。亡き主人の英輔を慕い、新宮利彦を心底から毛嫌い、菊江のことも嫌っている。 信乃(しの) 秌子の乳母、実家の新宮家から秌子が椿家に嫁いだ時に一緒に付いて来た。62 - 3歳。芸術的な醜さの老婆。今も秌子を「お嬢様」と呼び、かいがいしく世話をする。 目賀重亮(めが じゅうすけ) 秌子の主治医。52 - 3歳。平家蟹のような顔で脂ぎった精力的人物。ひどいがに股。蟇仙人(がませんにん)と呼ばれていることを自覚している。財産に対する欲が薄いことと強壮な肉体とを見込まれて、秌子とは英輔の自殺より1週間後に玉虫公丸の媒酌により内祝言を挙げていた。 新宮利彦が殺害された日、利彦の工作により偽の連絡を受けて横浜まで出掛ける。連絡が偽りと知ると憤慨し帰宅、秌子を疑い悶着を起こす。
※この「椿家」の解説は、「悪魔が来りて笛を吹く」の解説の一部です。
「椿家」を含む「悪魔が来りて笛を吹く」の記事については、「悪魔が来りて笛を吹く」の概要を参照ください。
- >> 「椿家」を含む用語の索引
- 椿家のページへのリンク