植物塩基化学とは? わかりやすく解説

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酸と塩基

(植物塩基化学 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/10 04:11 UTC 版)

化学 > 酸塩基化学 > 酸と塩基

化学において、酸と塩基(さんとえんき、英語: acid and base)とは、および塩基の総称であり、「

リトマス試験紙
  • を溶かし、その水溶液リトマス試験紙につけると、リトマス試験紙の色が赤色に変色する。逆に、水に塩基を溶かし、その水溶液をリトマス試験紙につけると、リトマス試験紙の色が青色に変色する。
  • 酸性の水溶液はを溶かして水素を生じる。(塩基性では反応なし)
  • 酸性の水溶液には酸味があり、塩基性の水溶液には苦味がある。
  • 塩基性の水溶液が皮膚に付着すると、ヌルヌルとした感触が感じられる。

強度

ある溶液の酸性(塩基性)の強弱は、それに溶けている酸(塩基)固有の「強度」と、溶液中のその物質の「濃度」に依存する。例えば、硫酸は物質としては強い酸であるが、もし濃度が低ければ、溶液全体の酸性は弱い。

それぞれの物質固有の(濃度に依存しない)強度の指標としては、酸解離定数 (pKa) がある。また、濃度を加味した溶液としての性質の指標として水素イオン指数(pH) 、酸度関数 (H0) および規定度がある。これらは場合によって使い分けがされる。酸性度をあらわすために希薄水溶液中では pH を用いるのが一般的であるが、濃厚溶液および非水溶媒中においては酸度関数を用いる。

また有機溶媒中での反応を議論することの多い有機化学では、反応物の水素イオンの解離の程度を pKa によって議論することが多い。

物質固有の強度

水中で電離する化合物の酸性(塩基性)の強弱は、その物質の電離度によっておおまかに分類される。電離度は電解質が溶液中で解離(電離)しているモル比をあらわす値で、電離度がほぼ 1 である酸(塩基)を強酸強塩基)、電離度が小さいものを弱酸弱塩基)と呼ぶ。また、純硫酸よりも強い酸性媒体を超酸ということがある。

より定量的に酸(塩基)の強さを示す場合は、解離平衡を考え、その平衡定数 Ka対数に負号をつけた酸解離定数 pKa で表すことが多い。塩基に対しては、共役酸の pKa か、特に水中の場合では塩基解離定数 pKb = 14 − pKa が用いられる。

例えば、酢酸pKa は 4.76 、ギ酸pKa は 3.77 である[1]pKa は定義から数値が小さいほど水素イオンを解離しやすい、すなわち強い酸であることを示す。したがって、同じ弱酸でもギ酸のほうが酢酸より 10 倍強いことが分かる。

また、この表記法を用いると、有機物など通常電離するとは考えない化合物に対しても酸・塩基の強度すなわちプロトン解離の指標として用いることができる。例えば、水中でのメタンpKa は 48、ベンゼンは 43 であり、ベンゼンの水素の方がはるかに酸性が強い(すなわち、プロトンとして引き抜かれやすい)ことが分かる。[2]

塩基の強さは共役酸の pKa から判断することができる。例えば、プロトン化されたアンモニア(アンモニウム)のpKa は 9.2、トリエチルアミンは 10.75 である。すなわち、トリエチルアミンに配位したプロトンはアンモニアの場合に比べて 1 桁ほど解離しにくい。このことは、トリエチルアミンがアンモニアに比べて 10 倍強い塩基であることを示している。

酸解離定数を指標として用いることで、クライゼン縮合など、水素引き抜きが関与する反応に必要な塩基を推量することができる。

また酸と塩基には、「硬い」「軟らかい」という表現をされる定性的な性質がある。詳しくはHSAB則を参照。

濃度を含めた強度

ある物質の溶液の酸・塩基を議論する際には、その物質の濃度も重要な要素となる。濃度を含めた酸・塩基の指標としては、規定度水素イオン指数がある。

規定度は酸・塩基の価数とモル濃度の積で表される値で、単位 N で示される。ただし、IUPAC [3]ならびに日本の計量法[注釈 5]等では使用が推奨されていない。

水素イオン指数(pH)は、通常は水溶液中において、水素イオンの濃度を対数で示したものである。水素イオン指数は現実的な酸・塩基の強度にあった指標であるが、単純に酸・塩基の濃度に比例するものではないため、値を知りたい場合には酸塩基指示薬などによって調べる必要がある。また、水溶液以外に適用する場合には、自己解離水平化効果を考える必要がある。

室温では、pHが7のとき中性、7より小さいとき酸性、7よりも大きいとき塩基性である。

代表的な酸・塩基

脚注

注釈

  1. ^ その一方で、たとえば「酸化剤」「還元剤」などの概念は、すべての原子に共通して存在する「電子」を特別視して定義されているため、比較的普遍的かつ自然な発想であると言える。
  2. ^ 言うまでもなく、溶液の性質を最も左右するのは、溶質ではなく、溶媒を構成する物質の状況である(溶質よりも溶媒のほうが圧倒的に多量に存在するため。)。
  3. ^ この物質を構成していた陰イオンが、 の生成と同時に電離するので、水溶液全体としては電気的に中性である。
  4. ^ この物質を構成していた陽イオンが、 の生成と同時に電離するので、水溶液全体としては電気的に中性である。
  5. ^ 平成9年9月30日までは法定計量単位とみなされていた[4]

出典

文献

引用文献

  • [田中71] 田中元治『酸と塩基』裳華房〈基礎化学選書8〉、1971年、6-7頁。 
  • [F67]H・Freiser、Q・Fernando 藤永太一郎、関戸栄一訳 (1967/8). イオン平衡―分析化学における. 化学同人 
  • [MF1] J. McMurry、R. C. Fay 著、荻野博、 山本学、大野公一 訳「7章「水溶液内の反応」」『マクマリー 一般化学(上)』東京化学同人、2010年11月24日。ISBN 9784807907427 
  • [MF2] J. McMurry、R. C. Fay 著、荻野博、 山本学、大野公一 訳「13章「水溶液内平衡 酸と塩基」」『マクマリー 一般化学(下)』東京化学同人、2011年2月23日。 ISBN 9784807907434 

その他

関連項目




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