超酸とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 化学 > 化合物 > > 超酸の意味・解説 

ちょう‐さん〔テウ‐〕【超酸】


超酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/12 17:06 UTC 版)

超酸(ちょうさん、superacid)は100%硫酸よりも酸性が強いの総称[1]超強酸(ちょうきょうさん、superstrong acid)とも呼ばれる。

概要

トリフルオロメタンスルホン酸 (CF3SO3H、triflic acid とも) やフルオロスルホン酸 (FSO3H) はいずれも硫酸の1000倍以上の酸性度を持つ。多くの超酸は2種類以上の化合物の組み合わせにより高い酸性を実現している。

「超酸」という用語はジェームス・B・コナント過塩素酸系の酸性を研究する中で1927年に初めて用いた。元々は従来の鉱酸よりも強い酸を指す用語であった。硫酸よりも強い酸としての定義は、R. K. Gillespie による。

ジョージ・オラーは、超酸を用いて、それまで不安定な化学種とされてきた様々なカルボカチオン種を直接観測する手法を確立させ、それらの性質を明らかにした。その業績などから、オラーは1994年のノーベル化学賞を受賞した[2]

オラーが開発したマジック酸 (magic acid) は、ルイス酸のひとつである五フッ化アンチモン (SbF5) と、フルオロ硫酸との混合物である。その名称は、クリスマスパーティーで使ったろうそくを魔法のように溶かしたことに由来する。

現在までに知られる最も強い超酸はフッ化水素 (HF) と五フッ化アンチモンとの混合物であるフルオロアンチモン(V) 酸である。フルオロアンチモン酸ではまずフッ化水素がプロトン (H+) とフッ化物イオン (F) に分かれ、そのフッ化物イオンが五フッ化アンチモンと強く結合して八面体型アニオン (SbF6-) を作る。このアニオンは塩基性、求核性が非常に弱いため、遊離したプロトンは非常に反応性の高い "free proton" の状態に近づいており、際だって高い酸性を示す。その酸性は、100% 硫酸と比較して約 1016倍の強さに達する(H0 ≒ −28、硫酸の H0 ≒ −12)。三酸化硫黄 (SO3) を加えると、アンチモン上の配位子の組成を変えることができる。

カリフォルニア大学のクリストファー・リードは、2004年に「単一分子として最強の酸」であるカルボラン酸を報告した[3]炭素1個とホウ素11個が正二十面体型のクラスターを成した構造を持つ。マジック酸などと異なり、フッ化物イオンを出さないために腐食性がなく、様々な用途が期待されている。

参考文献

  1. ^ "Superacid". IUPAC. Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed. (the "Gold Book"). Compiled by A. D. McNaught and A. Wilkinson. Blackwell Scientific Publications, Oxford (1997). XML on-line corrected version: http://goldbook.iupac.org (2006-) created by M. Nic, J. Jirat, B. Kosata; updates compiled by A. Jenkins. ISBN 0-9678550-9-8. doi:10.1351/goldbook.S06135.
  2. ^ Olah, G. A. (2005). “Crossing Conventional Boundaries in Half a Century of Research”. J. Org. Chem. 70: 2413. doi:10.1021/jo040285o. 
  3. ^ Juhasz, M.; Hoffmann, S.; Stoyanov, E.; Kim, K.-C.; Reed, C. A. (2004). “The Strongest Isolable Acid”. Angew. Chem., Int. Ed. 43: 5352-5355. doi:10.1002/anie.200460005. 

関連項目


超酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 23:31 UTC 版)

強酸」の記事における「超酸」の解説

100%硫酸よりも強い酸性媒体のことを超酸と呼ぶ。 詳細は「超酸」を参照

※この「超酸」の解説は、「強酸」の解説の一部です。
「超酸」を含む「強酸」の記事については、「強酸」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「超酸」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「超酸」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



超酸と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「超酸」の関連用語

超酸のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



超酸のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの超酸 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの強酸 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS