果実の分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 22:19 UTC 版)
果実の皮(果皮)が乾燥した状態になるものを乾果(かんか)という。これに対して、果皮が柔らかく汁気の多いものを液果(えきか)あるいは多肉果という。 乾果 - 乾果は、果皮が割れて種子が出るかどうかで閉果(へいか)と裂開果(れっかいか、裂果とも)に分かれる。閉果 - 閉果は、果皮が乾燥した状態で熟して、種子が果皮に閉じ込められたままのものである。往々にして、果実ではなく種子であると見誤られる。果実の分かれ方と果皮と種子の関係で以下のように分ける。分かれない痩果(そうか) - 果皮と種皮が密着して分かれないもの。ヒマワリ、タンポポなど。 穎果(えいか) - イネ科にみられる果皮と種皮がより密着している痩果。 胞果 - 果皮と種皮が分かれる。 堅果 - 外側が非常に堅くなっているもの。ドングリやヤシなど。また、ドングリの台のような部分を殻斗(かくと)という。 翼果 - 果皮が翼のようになった果実。カエデなど。 果実が分かれる分離果 - 子房に複数の部屋があって、熟すると部屋ごとに分かれるもの。 節果 - マメの鞘(果皮にあたる)が、種子ごとに節を持っていて、種子一つ毎に折れて散布されるもの。ヌスビトハギなど。 裂開果 - 果実が種子の袋のようになり、成熟するとどこかに口を開いて種子が出るようになるものである。袋果 - 雌蕊が分かれている(離生心皮)で、その内側に向いた面に割れ目ができるもの。 豆果(莢果) - いわゆる豆の莢の形のもの。雌蕊が左右から平らで、内部は一室、成熟時には左右に割れる。 角果 - アブラナなどの果実。雌蕊の内部は中央に仕切りがあり、それを残して左右の殻がはがれるもの。細長い場合は長角果、長さが短い時には短角果という。 蒴果(さくか) - 雌蕊の中が放射状に複数の仕切りで分けられ、果実が成熟した時は、それぞれの部屋ごとに縦に割れ目を生じる。つまり心皮の数だけの割れ目ができる。スミレなどがそうである。また、以下のようなものもこれの範疇に入る。孔開蒴果 - 成熟すると、果実の決まった場所に穴が開く。 蓋果 - 果実の上の部分が蓋のように外れる。オオバコなど。 液果(漿果(しょうか)) - 成熟した時に肉厚で汁気の多い果肉に包まれるもの。普通は割れて種子を出すことはない。一般に言う果実はこのようなものを指す。種子の数や内部の構造からいくつかに分ける。核果(石果) - 種子は中心に一個あり、種子の外側に堅い殻(核という)を持つ。これは内果皮が堅くなったものである(モモなどの食用部を食べた後の普通「タネ」と言われている部分。真の種子はこの「タネ」の中にある)。 真正液果 - 種子の外側が特に堅くならないもの。 特殊な果実ナシ状果、ウリ状果(後述) 集合果 - 一つの花から複数の果実が集まった形のものが生じる場合、これを集合果という。果実の集まりであるが果実そのものではない。以下のようなものがある。キイチゴ状果 - 核果が集まった形。 イチゴ状果 - 花托(花床ともいう)が肉質に膨らみ、その外側に痩果が並ぶもの(オランダイチゴなど)。 バラ状果 - 花托が肥大し、その中に多数の痩果が入っているもの(ハマナスなど)。 ハス状果 - 花托がロート状に肥大し、その上に穴があり穴の中に堅果が入るもの(ハスなど)。 複合果 - 密集した花序が一つの果実のようになるものを複合果という。マムシグサの肉穂花序が柔らかい果実の集まりとなるのがその例である。複合果は、花序が一つの果実のように見えるが、果実そのものではないので偽果である。イチジク状果 - 隠頭花序の花托が肥大し、一つの果実のようにみえるもの(イチジクなど)。 パイナップルなども特に名称はないが複合果の一種である。
※この「果実の分類」の解説は、「果実」の解説の一部です。
「果実の分類」を含む「果実」の記事については、「果実」の概要を参照ください。
- 果実の分類のページへのリンク