未解明点と仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 21:05 UTC 版)
「ハイパーソニック・エフェクト」の記事における「未解明点と仮説」の解説
この現象は査読論文として発表され、現象としては統計的有意を示し、他グループからも類似の報告がある。しかし作用機序については現代の常識では説明しきれていない。特に、ヒトの可聴域を超える超高周波の受容メカニズムについては不明である。 大橋らグループでは以下のような仮説を立てた。 超高周波の受容メカニズムについて 前述の実験結果のように、イヤホンで効果が現れず、スピーカーでも身体の遮音で効果が減少することから、体表面で何らかの受容がされている可能性を示した。受容経路の候補としては、骨伝導と体性感覚が仮に挙げられている。骨伝導では超音波が知覚されることが研究途上であるが知られている(骨伝導#骨導超音波)。 可聴音と超高周波の同時受容でのみ効果が現れるメカニズムについて 模式的なモデルとして、可聴音情報によって超高周波情報のゲートが開放される「二次元知覚モデル」、および生物の遺伝子に組み込まれた本来環境(適応投資の少ない環境)の認知による低ストレス・高報酬状態を説明する「本来−適応モデル」を示した。 NHK放送技術研究所による2009年の実験では、音楽中の超高周波の有無が主観弁別される可能性も示唆された。しかしながら、こうした複数の周波数を含む超高周波知覚の実験については、音響機器・空気・人体での非線形歪による可聴域への影響の可能性も指摘されている。NHK技研の実験は機器での非線形歪に特に配慮したものであり、短時間聴取で主観弁別がなかったことから、非線形歪の影響には否定的な見解も示されているが、受容経路にまでは結論は出ていない。 また、前述のように大橋らの実験では、可聴音が脳活動を減少させる現象も観測されたが、過去の知見においては、音楽とアルファ波、リラックス状態の関係は個人の好みや聴取状況などの精神状態に影響を受けると考えられており、可聴音のみの音楽鑑賞といった行為が必ずしもアルファ波やリラックス状態を減少させるとは考えられていない。しかしながら、この指摘は音環境に対する提言としては示唆を含み、聴覚芸術やオーディオが社会にもたらす役割についても議論を投げかけた。
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