時報としてのチャイム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 13:55 UTC 版)
音による時報の合図は、日本では671年に天智天皇が製作した「漏刻」(水時計)で時刻を知らせるために鐘鼓を打ち鳴らしたのが最初だといわれている。近代になってからは、寺院の梵鐘(いわゆる時の鐘)や空砲・電鈴(ベル)・サイレン(手回しサイレン・モータサイレン)なども用いられていた。この方法では手間がかかり自動化が望まれ、時報時計(ベルタイマー)が開発された。この時計自体にはチャイム機能はなく、電源周波数に同期して回るモーターで時を刻む電気時計、または停電補償対応する機種は電池式振子時計、電気の供給が不安定だった1930年代は交流電源による自動巻の振子時計を使用していた。動作時刻は時刻設定の大歯車に長さ1センチほどのピンを挿し、24時間制で5分ごとに数秒から数十秒ベルを鳴らす設定が可能な時間スイッチであった。 1950年代始めから中頃には、この時報時計と連動して動作する無終端にした磁気テープの再生装置が商品化、一時的に利用された。後にオルゴールもしくは棒状の鈴を槌打して鳴らし、音声信号として取り出し拡声できるようにした機械式チャイムが実用化され、学校や自治体・企業等の時報装置として普及した。 1970年代後半、電子機器の急速な進歩と生活様式の多様化はこれらの機器にも波及し、時報時計は水晶発振式に、キー操作やマークシートによるプログラムタイマーに進化し、チャイムも従来の鈴を打ち鳴らす純機械的な構造から電子チャイムになり、複雑なプログラム動作を簡単にかつ複数のメロディー奏鳴可能とした。現在のベルタイマーは電子チャイムも内蔵しており、そのまま単体で時報装置として利用可能である。 これらの電子チャイムは合成音のため、音色や余韻の味わいは薄れてしまった。近年機械式チャイムは製造されておらず、建物の新築や機器の更新により電子チャイムに置き換えられ、既設の機械式チャイムも現存するものが少なくなっている。 チャイムを動作させる装置を扱うにあたっては、チャイム動作のためのプログラムを作成することがある。プログラムを登録するためには、直接機械を操作して入力したり、マークシートを読み込ませたり、近年ではパーソナルコンピュータとつなぎ、コンピュータ上でプログラムを組んで使用するものもある。 学校や会社などの日々の日課(時程などともいう)は、1種類から数種類定められているのが普通であり、1度プログラムすれば、あとは毎日自動的に装置がチャイム音を鳴らす仕組みになっている。しかし、特別な行事等の関係で臨時に日課が変わると、プログラムが使用できなくなる。この場合、チャイム動作の担当者が、チャイム装置を手動制御してチャイムを鳴らしたり、チャイム装置を切って時間になると自らが鐘を持って鳴らして回るなどの措置を行うこともある(明治時代の学校で、時間になると小使いが鐘を鳴らしながら校内を歩き回ったのと同じ手法)。 チャイムの音は音程がわかりづらく、少々はずれていても気にならない、という特徴がある。文部省令の音階に準拠して調律製造されている機械式チャイムもあったが、そうでないものはただ鳴っているだけで音色に難があったり、こだました場合の重音に不協和音を生じる。
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