昇圧工事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 09:26 UTC 版)
「南海21000系電車」の記事における「昇圧工事」の解説
1973年(昭和48年)に南海本線・高野線系統の架線電圧が直流600 Vから1500 Vに昇圧されることが決定したため、以後も全車が継続して使用される本形式については、冷房化工事と併せて実施されることとなり、1972年(昭和47年)以降検査周期に合わせて近畿車輛で改造工事が実施された。 その内容は、これまでの1台の制御器で4個の主電動機をつかさどる1C4M方式をやめ、4連を2両単位でユニット化し1台の制御器で8個の主電動機をつかさどる1C8M方式に改めた。難波寄りの奇数車にはパンタグラフ・電動発電機・エアーコンプレッサーなどの補機を搭載し、極楽橋寄りの偶数車には22000系に搭載されているものと同じ日立製作所製MMC-LHTB-20D(1C8M制御)と、これまでの強制通風式に代えて自然通風式に変更されたリボン抵抗器を搭載した。また主電動機は偶数車と奇数車で高圧・低圧の直列つなぎとなるように主回路を構成し、制御器を搭載する高圧側の偶数車のみ絶縁を強化した昇圧対応設計のTDK-820-Eを装架していた22000系の奇数車の主電動機と交換した。ちょうどこのとき2両編成の増結用車両22000系を本形式と同数の32両を建造しており、22000系と仕様を揃えた上で、主電動機を両者で入れ替えることにより高価な主電動機を大改造したり新造品と換装する必要がなくなることでコスト増を回避するという、同数新造ならではの一石二鳥の巧妙な方策をとっている。ただし、TDK-820-Bと-Eでは絶縁強化の関係でブラシ部分の構造が異なっていたため、保守の便を考慮して-Bのブラシ支えを改造し、-E仕様のパーツを共用可能とした。なお冷房装置への給電用としても使用される電動発電機は75 KVA級の大容量モデルが採用された。外観で特徴的なのは自然通風式に変更されたリボン抵抗器で、22000系の物より大容量とされ、その機器箱は台車間のほぼ全長を使い切るほどの容積であったことが挙げられる。 冷房装置は日立製作所製の集中式冷房装置であるFTUR-550-206Dが採用された。これは同時期に南海線用の姉妹車である初代1000系が採用した三菱電機製CU-73と同等品であるが、調達先を分散させている。
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