日本の会計基準との主な違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 08:07 UTC 版)
「国際財務報告基準」の記事における「日本の会計基準との主な違い」の解説
アメリカの条文主義の会計基準を基礎とした日本と違い、国際財務報告基準はイギリスの原理原則主義を基礎としている。原則に沿う限り、各社で会計方針や会計処理が異なることも許される。まれに条文に沿えば「公正で適切」な会計表記の「原則」から遊離すると会計士が判断する場合は、条文からの遊離も認められる。ただしこの場合は、会計方針およびその取り扱いの説明の情報公開が義務付けされる。よって、下記の種種の日本における運用との違いも、その背景にある原理原則を理解しないと意味をなさない。 のれん (会計)は、日本では20年以内の均等償却であるが、IFRSでは非償却 開発費は、日本では発生時費用処理であるが、IFRSでは資産計上 たな卸資産の最終仕入原価法は、IFRSでは禁止 たな卸資産の低価法評価損は、日本では洗替法と切り放し法の選択だが、IFRSでは洗替法 投資不動産は、日本では原価法のみだが、IFRSでは原価法と時価法の選択 償還義務のある優先株式は、日本では資本だが、IFRSでは負債計上 転換社債型新株予約権付社債について、日本では普通社債部分と新株予約権部分を一括処理できるが、IFRSでは区分しなければならない 実質支配の要素は、日本では一定の議決権比率を満たした場合に考慮されるが、IFRSではそれだけで支配となる 子会社等の取得や売却を、日本ではみなし取得日やみなし売却日で処理できるが、IFRSでは明文規定がない 決算日の異なる子会社の連結に当たり、日本よりもIFRSのほうが仮決算の要求が厳しい 社債発行費等、金融負債の発行費用は、日本では原則として発生時に費用処理だが、IFRSでは調達期間にわたり費用配分する 有給休暇引当金は、日本では基準も実務慣行もないが、IFRSでは計上が求められる ファイナンス・リースについて、日本ではリース料総額300万円未満の所有権移転外ファイナンス・リースを賃貸借処理することを認めるが、IFRSではそのような数値基準はない 退職給付債務の評価方法は、日本では期間定額法だが、IFRSでは給付算定式に基づく予測単位積増法 退職給付会計の過去勤務費用は、日本では遅延認識が可能だが、IFRSではOCIによる即時認識 繰延税金資産の回収可能性について、日本では会社の収益性の区分に応じた計上可能額算定方法が詳細に決められているが、IFRSではそのような詳細なルールはない 株式持ち合いによる株式買戻しによる益出しができない(見た目上の利益のかさ上げ行為は不可)
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