日本での取り締まり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:01 UTC 版)
日本において密漁の取締りを所掌する官庁は農林水産省の外局の水産庁であり、水産資源の保護については各都道府県の水産課も担当している。水産庁では漁業監督官が、都道府県では漁業監督吏員がその任を負っている。また、海上保安庁や都道府県警察も、水産庁に協力する形で密漁者の取締りを行う。過去には、地元の漁師が自主的に密漁者を監視し、現行犯逮捕する事例も多かったが、暴力事案に発展する場合も多いため、海上保安庁や都道府県警察の立会いの元に取締る場合が増えている。 農林水産大臣または都道府県知事の許可を受けずに許可を要する漁業を営み、密漁で検挙された場合は、3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金が科せられる(漁業法第138条)。 日本における「漁業を営む」の解釈は、「営利の目的で反復継続の意思をもって行う行為」とされ、漁獲の有無については問われない。つまり、例え漁が空振りであったとしても「営利の目的で反復継続の意思」で行ったのであれば、漁網を使う漁業であれば投網、潜水器漁業であれば潜水の時点で既遂となる。 また漁業者が漁業監督官、海上保安官、警察官等の立入検査を忌避した場合は、漁業法の規定により、6ヶ月以下の懲役若しくは30万円の罰金が科せられる(漁業法第141条2項)。 採捕禁止期間や漁法に関する規定は、都道府県の海面漁業調整規則に記載されている。各都道府県によって対象魚種、期間、漁法は異なるので、釣りも含めて魚介類を獲ろうとする際には、注意が必要である。 漁業権の侵害とされるのは通常、共同漁業権のことであり、これは対象となる魚種が指定されたうえで、個人に対してではなく漁業協同組合に対して都道府県知事から付与され、漁業者は所属する組合から漁業権の行使承認を得ているという形になっている。そのため、漁業協同組合によっては一般人に対して有料で漁業権が設定された魚種の採捕を認めているところもある。また、漁業法で規定される漁業権侵害の罰則は、20万円以下の罰金となっており、密漁は高額の利益の割に罰則が軽いことから、都道府県警察では密漁で得た高額の不法収益に対して課税通報制度を積極的に活用することで犯行の抑止を狙っている。
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