新現役チャレンジプラン
団塊の世代と呼ばれる1947〜49年に生まれたベビーブーム世代は680万人、このうち60歳定年の会社に勤める人たちが2007〜09年に職場を離れます。だが、いまの60代はまだ元気で、定年退職者の7割が就労希望しているといった調査もあります。生活費を補うためだけでなく社会とのつながりを保ちたいというのが最大の理由になっています。
経済産業省・中小企業庁は08年度から大企業や研究機関の退職者を「新現役」と名づけ、「新現役チャレンジプラン」を創設する計画です。すでに企業庁は03年度からOB人材マッチング事業を推進しています。これは外部人材を活用して経営革新や新事業に取り組もうとする中小企業に対し、経営管理や財務管理、技術開発、販路開拓などのノウハウを持つOB人材を紹介する事業です。OB人材として登録した人が7500人、中小企業とのマッチングに成功した件数が3651件の実績です。
新現役プランは07年度OB人材マッチング事業4倍の予算を要求、事業内容を大幅に拡充する計画です。中小企業とのマッチングだけでなく、地域資源の発掘や価値向上などのモデル事業で新現役の地域定着を促して、そのノウハウを活用するとか、日本の産業競争力の基礎となっている技術が退職者によって海外に流出するのを防ぐために、国内で技術を生かす受け皿を設けることなどを検討しています。
新現役プランのキーワードは1.大企業から中小企業へ、2.大都市から地方へ、3.海外から国内へ―の三つです。これを実現するため、新現役の登録2万〜3万人、マッチング年1万件と従来の事業を大幅に拡大する方針を立てています。
長い間の大企業や研究機関生活で身につけた技術・ノウハウを生かして、社会に貢献したい退職者と、外部の力を使って飛躍や活性化を図りたい中小企業や地域、両者がうまくマッチングできれば、互いにハッピーであることは間違いありません。しかし、OB人材マッチング事業は4年半行った段階で、登録者は1万に達せず、マッチング件数は登録者の半分に満たない状況です。
新プランではまず新現役の登録を増やすことが重要になります。これには大企業の協力が欠かせないでしょう。退職者に対し、その人の力が生かせる新現役プランの情報を提供し、関心を持ってもらう策を講じないとなかなか登録は増えないでしょう。また、いままで大企業の中で仕事をしていた新現役が中小企業の状況を知るための研修なども充実しなければなりません。
いずれにしても60歳はまだまだ元気なのですから、本人のためにも、日本経済の成長のためにも、もう一肌脱いでもらわなければなりません。そのための仕組みがうまく回るように協力することが必要です。そして将来はこうした仕組みがビジネスとしてひとり立ちできるようにすることが重要ではないでしょうか。
※図は「2006年10月1日現在推計人口ピラミッド」(07年4月16日公表・総務省統計局)より
(掲載日:2007/12/13)
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