新幹線で「エコ出張」

JR東海は、地球温暖化防止に資する取り組みのひとつとして、「Eco(エコ)出張」と名付けたキャンペーンを展開しています。出張には、温室効果ガス排出の少ない交通手段、「鉄道」の選択をというわけです。
環境情報プラザの環境キーワード「エコ新幹線」で紹介したように、今年7月1日より営業運転を開始する「N700系」は、初代の「0系」に比べて約32%、現在の主力車両である「700系」系に比べ約19%も消費電力を削減するなど、高速性・快適性に加え、環境特性も大幅に向上させています。
企業の社会的責任の一つとして、地球温暖化防止など地球環境保全に資する取り組みが様々に拡大しています。Eco出張とは、地球環境保護、すなわち、エコロジーへの貢献につながる出張、ということで、「中長距離の移動(出張)において、より温室効果ガス排出量の少ない交通機関・出張形態を選択する」という考え方と行動のことです。
運輸部門のCO2排出量のうち約60%が人の移動、つまりモノの移動である「物流」に対していうならば「人流(じんりゅう)」によって発生しており、うち約20%が企業の業務目的の移動(いわゆる主張)に起因するといわれています(三菱総合研究所調査)。
一定規模のCO2が排出される中長距離の「人流」対策、すなわちEco出張の取り組みは、オフィスを中心とした活動を念頭に置いた他の取り組みに比べても効果が大きく、一方で交通手段を変更するだけでよいことから初期投資や目立った維持コストが発生しない極めて取り組みやすい対策といえます。
同調査では実際の削減効果も試算しています。例えば従業員200人規模の企業が、1人月1回の東京−大阪出張を鉄道と航空機の折半利用で実施すると仮定。すべてを鉄道利用に変更すると年間約110トンのCO2削減につながる。同様のケースで東京−秋田出張では同120トンの削減効果があるとしています。
これまで、運輸部門の温暖化対策は自動車の燃費向上や幹線貨物輸送のモーダルシフトが中心。出張者の交通手段の選択まで行き渡っていないのが現実です。JR東海では企業だけでなく、行政に対しても今後の施策に反映するよう働きかける方針です。
新幹線利用の拡大につなげるキャンペーンともいえますが、考え方とそれに基づく具体的な取り組みが広まれば、一層の地球温暖化防止につながるのではないでしょうか。
写真は新幹線N700系電車 写真提供:JR東海
(掲載日:2007/03/10)
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