循環型リサイクル

家電に限らず使われて廃棄されたプラスチックは焼却されるか、リサイクルされています。リサイクルといっても固められてボイラーの燃料になったり(サーマルリサイクル)、安い雑貨になったりします。つまり家電に使われたプラスチックが家電に再利用されることは少ないのです。
なぜかというと家電に使われるプラスチックの種類は主に3種類あり、廃棄された家電から種類を見分けるのが難しいからです。廃棄された家電は粉々に粉砕されます。プラスチックは粉々になると、見た目で種類の判別がつきません。何種類も混ざった混合プラスチックのまま溶かして固めてもう一度プラスチック製品にしたとしても、製品は品質が保たれず、壊れやすくなります。このため長年使う家電には混合プラスチックの利用は不向きでした。
三菱電機は混合プラスチックを種類別に自動で分ける方法を開発しました。それも水と静電気を使ったシンプルな方法ですが、選別はほぼ完璧にできます。
それでは選別の流れを見てみましょう。まず粉々になったプラスチックを水に入れます。すると水面に浮くプラスチックと沈むプラスチックに分かれます。浮くのがポリプロピレン(PP)と呼ばれるプラスチックです。
残りのプラスチックは大きな筒に入れます。筒から出てきたプラスチックは2方向に分かれながら落下します。これでポリスチレン(PS)とアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)に分かれます。
なぜ落下しながら選別できるかというと、静電気の働きです。筒は回転していて、中のプラスチックは摩擦で静電気を帯電します。PSはマイナス、ABSはプラスの電気を帯びます。筒の出口にはプラスとマイナスの電極が用意されています。筒から出るとマイナスの電気を帯びたPSはプラスの電極側に、ABS(プラス)はマイナス側に自然と引き寄せながら落下します。そのまま箱に収まると選別できる仕組みです。
選別装置は千葉市緑区のリサイクル工場で稼働しました。この工場で選別され、再利用できるようになるプラスチックは年間6400トンです。これは三菱電機の家電に使われるプラスチックの18%に当たります。三菱電機は再生プラスチックを自社の家電に再利用することで、家電から家電へのプラスチックの循環型リサイクルに取り組みます。
帝人などは使用済み衣料の化学繊維を衣料用繊維に再生する循環型リサイクルを運営しています。キヤノンや富士ゼロックス、リコーなどは、廃棄されたコピー機の部品をきれい清掃して新品のコピー機に再利用しています。富士フイルムは雑誌の印刷に使う刷版と呼ばれる材料の循環型リサイクルに取り組んでいます。
家電製品協会(東京都港区)が6月1日に公表した09年度の家電製品リサイクル状況によると、エアコンやテレビ、冷蔵庫、洗濯機の廃家電4品目の引き取り台数(メーカーや指定業者が全国の指定引取場所で引き取った4品目の台数)は約1879万台と前年に比べて46%増加しています。循環型リサイクルが進めば、一から材料を作る必要がなくなります。石油から作られるプラスチックや化学繊維であれば、新しく石油を発掘する量が少なくなります。循環型リサイクルは資源の有効活用になり、資源の枯渇を防ぎます。
(掲載日:2010/06/21)
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