携帯電話の接続料

問題は接続料と通信料金が密接不可分の関係にあることです。携帯電話会社は接続料を通信料金に含めて請求するため、最終的には契約者が負担することになるからです。接続料が高止まりすれば、通信料金が下がりにくい要因になります。事実、携帯電話の接続料は固定電話の約5~7倍に相当するため、携帯電話の通信料金が高止まりする原因になっていると、学識経験者などから指摘されてきました。
固定電話にも接続料があります。NTT東・西会社が持つ端末回線を他の通信会社が使用する際に発生しますが、そこは厳格な算定ルールが確立されています。通信自由化が進む過程で固定電話の接続料は段階的に引き下げられてきました。これにより新電電(現在のKDDIやソフトバンクテレコムなど)は値下げ競争に打って出られる余力が生まれ、自由化前に比べ通話料金は格段に下がりました。
携帯電話の接続料には、固定電話のような明確な算定ルールが存在せず、携帯電話各社がコストなどを上乗せし、自主的に決めています。「コストなどの中身については明確な整理がなされていない」(総務省)のが実態です。このため総務大臣の諮問機関である情報通信審議会の接続政策委員会は、携帯電話の通信料金を引き下げるため、新たな算定ルールの策定を求める内容を盛り込んだ報告書骨子案をこの夏にまとめました。
ポイントは販売奨励金などの営業コストを接続料に基本的に含めず、これをガイドラインとしてシェア25%超で指定事業者として規制を受けているドコモとKDDIに2010年度から適用する方針を示すことにあります。ソフトバンクはガイドラインの適用を強制されませんが、自ら新ルールに従う方針を表明しているため、大手3社すべてで接続料が引き下げられる見通しとなっています。
ただ、接続料の引き下げが、通信料金に連動するとは限りません。携帯電話会社は「他社への接続料の支払いが減少する一方で、他社から入ってくる接続料も減少するため、(接続料の引き下げによる)効果は相殺されてしまう」事情があるからです。
(掲載日:2009/09/23)
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