新しい郊外の傾向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 19:00 UTC 版)
ロードサイドの巨大モールばかりが発達し、中心市街地が衰退する傾向は戦後のアメリカで深刻化し、以後モータリゼーションの世界的な拡大に伴い他の諸国へ、1990年代以降は日本の地方都市にも波及している。 「ニューアーバニズム」や「スマート・グロース(Smart Growth、成長管理:スプロール現象を抑え、車に頼らない都市開発を目指す)」といった社会政治学的運動は、際限ない都市スプロールの脅威に対する回答として、北米や北欧で広く流行するようになった。都市計画家、建設業者、建築家らの間におけるこの運動が「望ましい郊外のあり方」として支持するものは、より濃密でより都市に似たコミュニティ(地域)と、ゾーニングの緩和による土地利用の混合や住商工混合の建物などである。こうした地域共同体は職住接近型なので、遠くに通勤する必要はなく交通渋滞の緩和につながり、住民の間により良好な共同体的つながりを育てることにもなるだろう。またこうした地域共同体はどこへ行くにも可能な限り自家用車の使用を抑え、依存を減らす方法の模索の結果である。海外におけるニュー・アーバニズムなどの運動は、こうした理念を体現したニュータウンの開発のほか、都心回帰に伴い既存の都心の老朽化した建物群に新しい住居や店舗を整備する地域リノベーションの両方に結実している。 イギリスでは政府が、2003年以来、南東イングランドの一部で、新しく許可された住宅地域に対し、一定以上の密度を課そうとしている。このような都市戦略をとることで、一人一人の市民の平均移動距離を減らすという目標に成功する地域がどれだけできるかは今のところ不明である。イギリスにおいて、新しいキャッチフレーズは団地建設よりも「持続可能なコミュニティの形成を」である。このアイデアが、今その成果が疑われている「アーバンビレッジ」の理念(1992年以降提唱され、都市内部に、意匠や配置を十分計画された複合用途の団地を建設し、歩いて生活できる田園のような生活を実現しようとした)に置き換わりつつあるが、どちらのアイデアも、新しい病院や学校、公共交通の建設に民間資本の関心や関与が強まることにより試練を受けている。こうした民間資本は、新しい住宅地域に十分な人口が集まらないと公共施設の建設やサービス開始をしようとしないからである。
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