文明崩壊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 02:57 UTC 版)
「ジャレド・ダイアモンド」の記事における「文明崩壊」の解説
「文明崩壊」および「イースター島」も参照 ダイアモンドは、2005年の自著「文明崩壊」の中で、一度は高度な社会を築きながらも、その後、文明が崩壊した事例を記しており、北米のアナサジ、中米のマヤ、ポリネシアのイースター島、ピトケアン島などを取り上げている。この中で、ダイアモンドはイースター島の文明崩壊の原因として、モアイ製造を推し進めた結果、モアイの運搬に大量の木材を消費してしまった事をあげている。イースター島では、木材を消費し尽くした結果、島全体の森が消え、食料となる野生動物もいなくなり、やがて部族抗争が起きて人口が激減、人肉食が起きるほど、文明は後退したとの説を唱えている。なお、この説そのものは、ダイアモンドの新説というわけではなく、従来からあった通説である。それが、ダイアモンドの著作で紹介された事により、「人が科学技術を過信し、自然を破壊すると、やがて人類の文明に悪影響を及ぼす」との教訓めいた話として、人口に膾炙していった。 しかし、2020年現在、この説には誤りがあるとの研究がいくつかある。従来の説は、モアイを運ぶために、木製の橇を作り、さらに木の軌条を作ってその上を滑らせるため、多くの木材を費やしたというものであった。しかし、モアイを立てた状態で、縄で左右に揺らしながら、歩かせるように前に進める方法でも可能である事が、実験で確かめられている。この様子は、イースター島に伝わる「モアイは自分で歩いた」との伝説にも合致する。また当時の遺骨には争った形跡がほとんどど無いことから、抗争は無かったとの説が出てきている。この説によれば、イースター島の住民が激減したのは、西洋人による奴隷狩りが主な原因とされる。ただ、この「イースター島の住民自身の行動が文明崩壊を引き起こしたわけではなかった」との説には、反証もいくつか出ており、やはり従来の通説通り、文明崩壊は起きたと主張する学者もいる。 ダイアモンド自身は、2020年に来日した時の産経新聞とのインタビューで「イースター島で起きたことは、過剰な資源収奪がもたらす最悪のシナリオです。この島は太平洋で孤立し、森林伐採など自然を破壊したときに助けを求める社会が他になかった。宇宙では地球も孤立しています。だからイースター島は世界の縮小モデルなのです。人間は自身が依存している資源を破壊してはいけないのです」と答えている。
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