持ち役について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 14:44 UTC 版)
サザエさんの穴子〈2代目〉は30代の頃に、当時のディレクターの推薦で起用されたが、それまで端正な顔立ちの役が多く、起用に違和感を感じたという。たらこ唇の外見に合わせて、発音を少し重い感じの台詞回しにするなど工夫を凝らしたが、最初は芝居が出来ずに雰囲気だけの日々を数年間送り、基本的にハマらないキツい役と考えていたが、長期でレギュラーだったお陰で、役の捉え方が徐々に理解できるようになり、現在では芝居がスパーンと出せているという。 銀河英雄伝説のオスカー・フォン・ロイエンタールは、膨大で難解な台詞量をこなすのが大変な役だったが、自分に合ったやりやすいキャラクターであったという。また、鍛錬前の一本調子の芝居だったことが、逆に、役柄にスポッとハマり、担当した音響監督の明田川進から何度もOKを貰ったという。また仮に現在、この役を演じた場合、「裏にある情熱的な面もふんだんに出せるかもしれないが、全然違うキャラになる」とも述べている。 ドラゴンボールZのセルも自身に合った役柄で、複雑な演技を必要とせず、絵柄に合わせて声だけを、第一形態はヘビのような爬虫類系、第二形態はカバのような声、第三形態は完全な二枚目と、其々変えて行き、結果としてハマり役になったという。起用された際は、「他にやる人がいなくて巡り巡って自分の所に来た役なのかな?」と疑念を持っていたが、実際に挑戦してみると自信に繋がったキャラクターでもあるという。 ニニンがシノブ伝の音速丸は、前述の鍛錬による呼吸法を体得した頃に演じたキャラクターで、二枚目とは明らかに違うギャグな言葉と雰囲気を持つキテレツなキャラを、呼吸法によって自由にこなすことが出来、一本調子の芝居からの変化を感じ取ることができた役となったが、本作は、同じ事務所の後輩だった水樹奈々の初主演作でもあり、「僕が助けなきゃ」という思いもあったという。尚、ギャグ的な芝居の変化の兆しは、音速丸を演じる以前に担当したあずまんが大王 THE ANIMATIONのちよ父親役で出ていたと述懐している。 コードギアス 反逆のルルーシュのシャルル・ジ・ブリタニア皇帝は、傲岸不遜だが、温情も情感もトラウマも持ち合わせている人物設定に、キャラクターとしての存在意義が理解ができた役であり、ノッて芝居を演じることが出来たため、何万人もの衆人に演説をかける場面で大声を必要としたが、2ページ以上の長台詞を全くトチらずに演じられたという。 プリズン・ブレイクのセオドア“ティーバッグ”バッグウェルは、「それらしく演ずるのではなく、まさにそれになる」の言葉を体現し、芝居の世界を切り拓いてくれた革命的で金字塔のようなキャラクターだったと述べている。一目見た瞬間に一如一体観があり、スパーっと没入できるのではという閃きが生まれ、真実感のある声のパフォーマンスを完璧に近い形で表現できる確信があったという。中でも、劇中で小川真司が吹き替えを担当したキャラクターと死闘を演じる場面では、約6ページの台本量という長丁場を、最後までミスなく合わせることが出来た時には感動すら覚え、隣で収録していた小川も、してやったりの痛快な笑みを浮かべていたという。
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