情報検索との関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 21:35 UTC 版)
「著者名の引用 (動物学)」の記事における「情報検索との関連」の解説
コンピューターにとって、O. F. MüllerとO.MüllerとMüllerは異なる文字列であり、 O. F. MüllerとO.F. MüllerとOF Müllerの違いでも問題が起こりうる。Fauna Europaeaはイニシャルの組み合わせ O.F. と O. F. が全く別の文字列(後者はFの前に半角スペースがある)として読み込まれるデータベースの典型例である。オットー・フリードリヒ・ミュラー(英語版)によって記載された全ての学名を検索しようとする人は、次のことを知っておく必要がある。(1)様々なデータ提供者により提出されたデータには幾つかのバージョン(O. F. Müller、O.F. Müller、Müller、O. Müller)が含まれること。(2)多くのデータベースでは、O. F. MüllerやMüllerで調べても検索機能はO.F. Müllerを発見してくれないこと、ましてやMuellerやMullerといった代替綴りが駄目なことは言うまでもない。 そのため、生物多様性インフォマティクスの目的のために(例えば)属-種-著者-年、属-著者-年、科-著者-年といった「事実上」の一意識別子を使用することは、実際には同じ著作物中の同じ命名法的行為かもしれないのに、引用された著者の姓のバリエーション、引用されたイニシャルの有無やバリエーション、および表示形式の些細なバリエーション、あるいは引用された著者(責任者)や時には年号のバリエーションのせいで問題を起こす可能性がある。さらに、少数例ではあるが、同じ著者が異なるタクソンに対して同一の名前を同じ年に複数回作っていることがあり、その場合は各々の名前が現れる著作物のタイトル、ページ、時には行を参照することによってのみ区別することが可能となる。 オーストラリアでは、引用された著者名文字列の類似性に従って、タクソン学名の2つの異形が同一と認められるべきか否かを予備的な方法で示す手助けとなるツールとしてプログラム(TAXAMATCH)が作られた。TAXAMATCHの著者権合致機能は「Medvedev & Chernov, 1969」と「Medvedev & Cernov, 1969」、「Schaufuss, 1877」と「L. W. Schaufuss, 1877」、「Oshmarin, 1952」と「Oschmarin in Skrjabin & Evranova, 1952」といったものまで、 マイナーな綴りや日付の違いなどを含めて著者名文字列に中程度-高い類似性があるものを取り出すのに有用である。そして著者名の引用が非常に異なる低い類似性(例えば「Hyalesthes Amyot, 1847」と "Hyalesthes Signoret, 1865")では、異なる出版物の事例だと表す可能性が高く、したがってタクソンも恐らく異なる。このプログラムはまた、例えばライヘンバッハのための「Rchb」など、植物学やたまに動物学で使用されている標準化された略語も理解する。 ただし、標準ではない略語(H.&A. Adamsに対する「H. & A. Ad.」など。実際には「Adams&Adams」が通常の引用)だと今でも失敗することがある。このような非標準の略語は、多少なりとも類似の名前と引用された著者権の各グループに合致させて、事前分類するためのアルゴリズム的アプローチを用いた後に手動検査で拾っていく必要がある。しかしながら、綴りが非常に似ていても実際には異なる人物を表す、同様のタクソン学名を独立で著した著者の名前はこのプログラムでは適切に分離されない。例として「O. F. Müller 1776」と「P. L. S. Müller 1776」、「G. B. Sowerby I 1850」と「G. B. Sowerby III 1875」、「L. Pfeiffer 1856」と「K. L. Pfeiffer 1956」などがあり、そのため特に上に挙げたような既知の問題に対しては、追加の手動検査も必要になる。 そうしたプログラムによって検出されないエラーのさらなる原因には、文献にて時おり一貫性なく適用されている複数部分の姓を持つ著者、そして受容された帰属が時間が経って変化した著作物が含まれる。例えば、1798年に出版された匿名で記された著作物『Museum Boltenianum sive catalogus cimeliorum ...』で発表された属は、長い間ボルテン に帰するとされていた、しかし今では1956年のICZNによる裁定に従ってピーター・フリードリッヒ・レディング(英語版)によって書かれたと考えられている。
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