情報システム開発の更新
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 04:34 UTC 版)
電話案内の強化、鉄道電話網の近代化(有人交換所への100%自動交換化、PBXの全管理局配置)、電信の自動化などは1973年(昭和48年)度より着手された「通信運用体系近代化計画」にて各々半年から数年で充実させる目標が立てられた。一方で、情報システムの本格運用については、極めて長期の年月を要した。当時目指すべきシステムをある程度具現化した存在として私鉄の運行管理システムがあり、当局がそれを意識していたことは上述した。佐藤金司は私見として、情報システムに求める要素として次のようなものを挙げている。 首都圏鉄道の運行管理情報システムのホールプラン作り ホールプランは国電区間のATC化、輸送力増強計画とリンクさせること システム設計において、指令センターから現場駅区への情報伝達を重視すること 電話による情報サービスをこうしたシステムとリンクして積極的に考慮するべき 将来計画に出戻りのない範囲で実現出来るものは先行させる。一例としては列車無線。 なお、この時点で国鉄線での実用化への課題として、貨物列車、長距離旅客列車を含めたトータルシステムの構築が必要であることも挙げられている。その後、国鉄当局は在来線で使える総合的な運行管理システムの開発に尽力し、1980年代後半に『TRAPS』として結晶化した。しかしながら、当時の計算機性能や実システムに適用されていた概念では求められる能力の全てに応じることは困難であり、本システムの普及はならなかった。この問題が根本的な転換を迎えるのは、日立製作所の主導で分散システムのアイデアを取り入れたATOSが導入される1990年代後半を待たなければならなかった。佐藤が提言した時代に電話と言えば固定電話サービスしかなかったが、2000年代後半に入ると、民間企業数社により、パソコンを設置した建物への固定回線のみならず、移動体通信の申し子たる携帯電話端末での利用も包含した地理案内情報サービスが普及していった。
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