必殺技の開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 14:58 UTC 版)
詳細は「必殺技」および「魔球」を参照 スポ根作品において血のにじむ様な特訓や、その成果として編み出される必殺技や魔球の存在は欠かすことが出来ないが、完成に至るまでの過程は様々である。スポ根成立以前のスポーツ漫画では必殺技や魔球は主に忍者を出自に持つ競技者が取扱う忍術として描かれ、競技者はそれらの能力を当然のように身に付けているため開発の経緯も定かではなかったが、後のスポ根作品群では特訓の成果として編み出されることが一般化した。漫画コラムニストの夏目房之介は1991年に出版した『消えた魔球 熱血スポーツ漫画はいかにして燃えつきたか』の中で、スポ根作品と必殺技や魔球の関係性をカレーライスと福神漬に準え、本格的なスポーツ漫画を標榜すれば必殺技や魔球の存在は作品を台無しにすると指摘したが、1999年に出版した『マンガの力 成熟する戦後マンガ』では、「格闘技音痴だった私には理解できなかったが、要するにアレは格闘技の基本的な感覚を置き換えたものなのだ。マウンドから打者までの距離でやるから荒唐無稽になるが、体を接した距離ならリアリティのある発想なんじゃないか」と訂正している。 偶然型 無意識のうちに必殺技を編み出すスタイル。本人に自覚がなく理論的裏付けがない。 特訓型 ある理論に基づきそれを具現化するために特訓を行うスタイル。必殺技を編み出すために山などに籠り極限状態に至るまで特訓を試みる。特に梶原一騎の作品では競技の勝敗以上に必殺技の開発と自己の修練に重点が置かれる。必殺技を生み出すための理論、対戦相手の必殺技に対抗するための理論を事細かく構築する傾向が強いが、その理論が現実の競技の特性に沿わない場合や、限度を超えて身体を酷使し精神を抑圧するなど狂信的な手段に訴える場合がある。 導師つき型 指導者の教示の下で必殺技を編み出すスタイル。即時の習得が可能なものから特訓を必要とするものまで難易度は様々であり、選手の本能に任せて実戦の中で編み出す場合もある。 特訓中の偶然型 山籠りなどの特訓の最中に発生した突発的な事象により必殺技を編み出すスタイル。 『エースをねらえ!』のように魔球が登場せず、作中でコーチの宗方仁が魔球を否定する台詞が存在するが、同作のアニメ版ではオリジナル技「竜巻サーブ」という魔球が登場する。 1970年代後期にはボクシング漫画『リングにかけろ』(車田正美)のように理論構築、必殺技の開発、自己の修練などの過程を省略し勝利という結果のみを誇張して伝える作品が登場した。
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