建築およびその装飾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 09:51 UTC 版)
詳細は「イスラーム建築」を参照 イスラームの建築はイスラーム世界に特有のさまざまな形態を取り、それはイスラームと関係していることが多い。モスクはもちろんであるが、マドラサや隠居所なども信仰に対応した建物となっている。 建物の類型は時代と地域によって大きく異なる。13世紀以前には、今のエジプト、シリア、イラク、トルコにあたるアラブ世界の発祥の地ではモスクはどこもほぼ同じでアラブ様式と呼ばれる間取りに従っており。1つの広い中庭と1つの多柱式の礼拝空間を持つが、その装飾とさらにはフォルムには大きな差異があった。マグリブのモスクはキブラに垂直な身廊を持つ「T」形を採用していたが、エジプトとシリアでは身廊はキブラと平行であった。イランは、煉瓦の使用、スタッコと陶芸を用いた装飾、またイーワーンやペルシア式アーチといったサーサーン朝の建築(フランス語版)に由来していることの多い独特のフォルムといった固有の特徴(イラン様式)を有している。マドラサもまたイラン世界で生まれたものである。アンダルスでは蹄鉄や多弁形などさまざまなアーチを用いた色鮮やかな建築への嗜好が見られる。アナトリアでは、ビザンチン建築の影響下にありつつもアラブ様式の中で独自の発展も見せる、独特で並外れた丸屋根を持つオスマン式(オスマン様式)の大モスクが建設された。ムガル帝国のインドでは徐々にイランの様式を離れ球根状のドームを強調した独自の様式が発達した。 852年に完成したサーマッラーの大モスクの平面図。多柱式の礼拝空間を持つ典型的なアラブ様式のモスク。 セリミエ・モスクのドーム。幾何学文様とカリグラフィーによる装飾が施されている。1557年、イスタンブール。 アヤソフィアのミフラーブ。礼拝の方向を示すための窪みである。イスタンブール。 クトゥブ・ミナールのムカルナス。ムカルナスはイスラーム建築でよく用いられる、幾何学的要素の反復による持ち送り構造の装飾である。1200年頃、インド。 シャー・モスク(英語版)のイーワーン。イーワーンは屋外に向かって開き、高いアーチの天井を持つ空間。特にイランでよく使われ、中庭の四方に配する4イーワーン構造も発達した。エスファハン。 ハッサン塔(英語版)。地域差の大きいミナレットのバリエーションの1つ。ラバト ムガル帝国のディーワーネ・ハース(内謁殿)。ファテープル・シークリーにある皇帝の私的な謁見用の建物 インドのモスクに併設されたマドラサの風景。ムスリムの学びの場である。寄進制度ワクフにより、マドラサや宿泊・福祉などの機能も併せ持つモスク複合施設が各地に作られた。
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