工業プラント
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2003年、JFEを含む10社の共同出資により設立された(有)ディーエムイー開発により、200億円を投資して北海道釧路市に隣接する白糠町にDME製造のための大規模実証プラント(1日あたり生産量100トン)が建造された。実証試験後、引受希望者にはプラント設備が無償で譲渡予定であったものの、小規模製造の経済性に関してその後のエネルギー環境の変化もあり、引受先がないまま実証試験は2007年3月に終了し、同プラントは撤去された。 2008年6月、新潟県新潟市北区の三菱ガス化学新潟工場内に実証プラント(年産8万トン)が完成した。このプロジェクトは同社の技術を用いており、燃料DME製造株式会社、DME自動車実用化研究開発グループ、新潟DME研究会から成り立っている。特に、新潟DME研究会は、新潟県、新潟市、長岡市の自治体が参加している。2008年12月、燃料DME製造株式会社は、一正蒲鉾栽培センターのDMEボイラーに出荷を開始した。 2009年5月、岩谷産業と産業技術総合研究所が共同で木質バイオマスからのDME合成に成功した。自動車用、家庭用LPG混燃の研究を進めている。 中華人民共和国では、石炭資源が豊富であるものの、天然ガスや石油資源に乏しいことから、2005年ごろより石炭を原料に本格的に製造されている。これは、石炭をそのまま燃やすのでは大気汚染が激しいことと、近年の急激な経済成長に伴う、液体燃料、気体燃料の需要の増加、世界的な燃料価格の高騰といった事情による。中華人民共和国内での価格はLPGを下回っており、急速にLPGからの転換が進んでいる。現在では100万トン/年未満のスケールのプラントは低効率であるとして、現存設備の廃止、および今後の建造の禁止が定められている。既に、300万トン/年のプラントの存在が明らかになっており、今後は1000万トン/年の規模のプラントの建造も視野に入っているが、稼働率がまだ低いため、新しい案件は凍結されている。日本企業では、主に東洋エンジニアリングが中華人民共和国内市場に参入している。 日本国内では、石油残渣(重油)の産業用は都市ガスに押され、減少して在庫が増加する一方である。ジメチルエーテルは石油残渣や製鉄所の副生ガスからも製造可能であり、日本国内のコンビナートにジメチルエーテル製造プラントが建設されることに期待が寄せられている。国内でジメチルエーテルのプラントを建設すれば、LPGの価格抑止ができ、エネルギーの安全保障にもつながる。
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