就職氷河期の一時終結と既卒者の就職状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 06:29 UTC 版)
「就職氷河期」の記事における「就職氷河期の一時終結と既卒者の就職状況」の解説
2000年代半ばの輸出産業の好転で、雇用環境は回復し、2005年には就職氷河期は一旦終結した。新卒者の求人倍率は上昇し、2006年から2008年の3年間は一転して「売り手市場」と呼ばれるようになり、有効求人倍率は2006年から2007年にかけて1を上回った。 13年近くにわたる採用抑制の影響により多くの企業で人手不足となっており、労働環境が苛酷になるブラック企業が増加した。また採用抑制の結果、従業員の年齢構成が歪となり、技術や技能の伝承が困難になっていた。 このため企業はそれまでの態度を覆し、こぞって新卒の大量採用に走り、求人倍率そのものは「バブル期並み、もしくはそれ以上」とも言われた。特に金融関係の採用意欲は強く、大手メガバンクの中には一度に数千人採用した例もあった。ただし、氷河期に比べれば採用基準は緩和されたものの、依然として厳選採用の傾向にあった。優秀な学生がいくつも内定を獲得した一方で、内定を一つ得るのに苦労した学生もおり「内定格差」なる言葉も生まれた。 しかし新卒者の雇用環境が改善される一方で、既卒者の雇用環境は厳しいままであり、世代間による雇用機会の不均衡を指摘する声が強まった。日本の労働市場における採用慣行は「新卒一括採用」と「年功序列」に偏重しているため、第二新卒を含めた既卒者の就職が著しく不利になっているから、卒業後すでに相当の年数が経った氷河期世代の求職者、特にそれまで正規雇用されたことがない者は、極めて不利な条件下に追い込まれている。 団塊の世代の定年退職による労働力減少への対応についても、大多数の企業は新卒採用、また賃金の安い外国人労働者や定年退職者の再雇用によって補うことがあり、必ずしも氷河期世代の救済にはなっておらず、非正規雇用の割合は2008年まで上がり続けているという状況がある。
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