導入の経緯と経過
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 06:50 UTC 版)
「運動エネルギー回生システム」の記事における「導入の経緯と経過」の解説
近年の原油価格の高騰や、地球温暖化問題に絡んで省エネルギー・エコロジーに関する世間の関心の高まりから、通常の自動車などと比べてもより多くの化石燃料を消費するモータースポーツに対する風当たりが強まることを恐れた国際自動車連盟(FIA)が、環境保護アピールの一策として導入を発表した。また、2007年シーズンから開発コストの低減を目的に使用するエンジンにホモロゲーションが適用され、シーズン中のアップデートはおろかエンジン開発そのものがほぼ禁止となったことに対し、F1に参戦している自動車メーカーの不満が高まったため、新たな技術開発の可能性を提示することで、それらメーカーの不満を抑える目的もあるとされる。 F1関係者の間ではその安全性から2009年の導入開始に対し賛否両論であったが、予定通りKERSが使われることになった。ただし搭載および使用は義務ではなく、各チームやドライバーの自由意思により決定できた。一時期は2010年から全車搭載義務化との話もあったが、最終的に変更はなく、KERSがレギュレーションから外される2013年末まで任意搭載のままであった。 2009年 導入初年度にKERSを搭載したのはワークス系4チーム(フェラーリ・マクラーレン・BMWザウバー、ルノー)のみとなり、残りのチームは搭載を見送った。結果的に、搭載チームは開幕からマシンの熟成不足に苦しめられる形となったが、開発が進んだ後半戦はスタート時の加速などで威力を発揮し、マクラーレン2勝、フェラーリ1勝を挙げる。しかし、チャンピオンシップを争ったのは非搭載チームであるブラウンGPとレッドブル・レーシングであった。 2010年 フォーミュラ・ワン・チームズ・アソシエーション (FOTA) において「KERSは使用しない」という紳士協定が結ばれたため、レギュレーション上は使用可能なまま、採用チームは無しという状態になった。FIA会長のジャン・トッドはこの状況に不満を表明し、KERS再導入のためのワーキンググループを設置。2011年のレギュレーション変更項目にKERSの使用が記載された。 2011年 下位3チーム(ケータハム・マルシャ・HRT)以外はすべてKERSを搭載。前年の紳士協定から各チームにKERSを開発熟成する猶予期間が与えられた形になった事もあり、ほぼ標準装備となったが、自社開発する余力のない中堅以下のチームは、フェラーリ・ルノー・メルセデスといったエンジンサプライヤーからKERSをセットで購入した。その価格は約1000万〜1500万ユーロといわれる。 2012年〜2013年 2012年にはケータハム、2013年にはマルシャがKERSを搭載し、この時点で出走するすべてのマシンがKERSを搭載した。
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