宗教法人の課税の仕組み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 00:29 UTC 版)
まず、法人税法がいう「儲け」とは「配当金」のことであり、法人税などは、その法人の株主などへ支払われる剰余金配当(配当金)と、残余財産分配(みなし配当)に対して課税されている。 また、日本は法人擬制説の立場で税法が運用されていて、法人税などは法人自体に課税されたものという見解は法人実在説に立ったもので誤りであり、実際は配当金を貰う個人に対して課税されているのである。 しかし、税法で公益法人等に分類される宗教法人は持分が全くないため、公益事業(公益・宗教事業)以外の事業において「儲け」が出た場合には、法人税等が課税される。 ただし、宗教法人の収益事業で「儲け」が出た場合は、その総てを公益事業(公益・宗教事業)へ使わなければならず(宗教法人法6条)、一般企業のように個人へ配当することは出来ないので、その点で軽減税率が適用されている。 そして、法人収益は公益事業(公益・宗教活動・文化財の保護・伝統と慣習の承継等の本来事業)に、法規どおり使わなければいけない。(宗教法人法18条) ちなみに、公益法人である宗教法人の役職員は通常の場合給与を受けており、これは一般勤労者と同じく所得税や住民税などを課税されている。さらに、僧侶・神官等の宗教者が個人資産として、不動産・自動車等の動産を所有している場合は、相続税を始め普通に課税される。また自動車関係の道路特定財源制度諸税については、宗教法人が公益・宗教事業用に自動車を所有する場合でも、自動車税や自動車重量税などの課税がなされる。。また、固定資産税が一定条件下で減免されることもあるが、地方税法では固定資産税の減免対象になる事例が鉄道用地など他にも多く列挙されており、いかにも宗教法人であるからゆえの特権であるかのように論じるのは詭弁に過ぎない。 なお、宗教法人を含む公益法人へも、国税庁の税務調査は行われる。そして、所轄官庁や税務署へ財産目録などの法定書類を毎年確定申告する必要もあり、税務申告に問題があれば指導もなされる。したがって、「宗教法人には一切課税がされない」というわけではない。 但し、公益財団法人や公益社団法人等が運営する収益事業の税率と、宗教法人を含む広義の公益法人が運営する収益事業の税率との間に減額されていることなどから、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}宗教法人に対しても租税の公平性を確保するため、収益事業に対する税率の統一を求める声は多い。[要出典] 宗教法人が公益法人として課税の優遇措置を受けていることを逆手に取り、宗教法人が運営する寺院の住職が宗教法人の収入を私的流用していたことが、税務調査で指摘された例がある。しかし、法人運営の主導的立場にある者が地位を悪用して財産を流用する不祥事は他種の法人でも往々にして生じることであるため、上記の事例をことさら宗教法人の問題としてあげつらうことは失当である。
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