学校教科書への採択
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矢口が書いたエッセイ集の「ボクの学校は山と川」(単行本初版1987年(昭和62年)9月)「ボクの先生は山と川」は発売されるや教育関係者の注目を浴びるところとなった。まずNHKラジオ第一の朗読番組「私の本棚」に採用され、毎日15分間、12回に渡って朗読放送された。続いて「ボクの学校は山と川」は全国学校図書館協議会主催の第34回青少年読書感想文全国コンクールの高校生の課題図書に選定された。 またそれまで時々「マンガについて」「釣り」などのテーマで講演依頼があったが、この2冊のエッセイを出版して以来、これらのテーマに加えて「河川や水を通した環境問題」「村おこし、町づくりをテーマとした農業問題」となり、ついには「教育問題」をテーマとする講演依頼が異常に増えた。岡山県備前市で行われた学校図書館協議会主催の研究会では、学校図書館に携わる教員500名を前に「マンガは若者に支えられた文化である。この素晴らしいパワーをぜひ教育の場に取り入れてほしい。先生方にもマンガを読み、研究しその利点を教室で生かしてほしい」と講演した。 更に学校用教科書の出版社から教科用図書・高校教科書への採択依頼が相次ぎ、1990年版に以下の作品が採択された。 「カジカの夜突き」中学1年国語 教育出版 「にくい青虫」中学1年国語 教育出版 「あけびとり」高校1年英語 三友社出版 「バチヘビ始末」中学2年国語 教材文理 「底なし沼の極小トンボ」高校1年国語 尚学図書 「心のかけ橋」小学5年道徳 学習研究社 「弟の死」中学3年道徳 大阪書籍 「校門を掘る子」中学3年道徳 光村図書 矢口のエッセイ文を教科書に採択するに当たり、ある教科書出版社社員が「ご専門であるイラストもお願いしたい」と矢口に伝えると、「ボクに1ページください。関連したイラストを、その1ページにマンガでやらせてください。教科書にマンガです。中学時代からの夢だったんです。いいえ、描かせてもらえるなら原稿料なんかいりません。お願いします」と逆に頼み込んだ。出版社は矢口からの依頼を承諾し、矢口の描いたマンガ付き教科書は文部省の教科書検定を見事通過し、国語の教科書にマンガを載せることに成功した。 その後も矢口作品の教科書採択は続き、1996年度の東京書籍「新しい社会」下巻(小学5年社会科)には大判の教科書に見開きで、釣りキチ三平が釧路湿原の近くでイトウを釣っている迫力満点のイラストが掲載された。
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