学校教育とシグナリング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 07:34 UTC 版)
「シグナリング」の記事における「学校教育とシグナリング」の解説
就職市場での代表的なシグナルは、「学歴」である。学校教育は生産性に何の影響も与えないが、生産性との相関関係があるとすれば、企業が学歴によって労働者を採用することは合理的である。また求職者も高等教育を受けることによって自分の優秀さを示せるため、高賃金を受け取ることができる。企業は、有能な労働者は学歴を取得するためのコストが低くすむ一方、無能な労働者は学歴の取得に多大なコストを支払わなければならないと考えるからである。しかしこの見方によれば、教育は社会的な浪費となる。なぜなら、教育を受けたとしても、生産性に影響を与えることはないのにもかかわらず、学生や学校関係者の社会的資源を使ったのだとすれば、それだけ無駄が生じたことになる。これはあまりにも極端な見方であるが、生産性に影響を与えると仮定したとしても、シグナリングは社会的な利得はなく、費用がかかってしまうので、やはり教育に対しての過剰投資となってしまう。[要出典] 他方、ジョージ・メイソン大学経済学部教授ブライアン・カプランは、学校教育のほとんどは無駄なシグナリングであり、政府も教育支出を削減すべきであるとする。カプランは、歴史、社会、美術、音楽、外国語などは、社会に出ても役に立つことはなく、学生もすぐに忘れるほどで、単に時間の無駄となっているとし、必須科目から選択制にしたり、またはそれぞれの授業の水準をあげて成績下位の生徒を落第にすれば無駄はなくなるが、しかし、「税金を使って非実用的な教科を教える授業の廃止」が有効であると主張する。カプランは、「なぜ美術を勉強するという選択肢に公費をかけて納税者が負担しなければならないのか。それより、公立大学の非実用的な学部は閉鎖し、政府の助成金やローンを受けられない私立大学に非実用的な専攻の学科を創設すればいい」と提案し、現在問題になっている高額授業料にしても、無益な進学を抑制しているだけでなく、専攻の最適化にも役立っていると述べる。
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