学校教育と職業指導
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職業指導の要は学校であることから、1922年ごろから各学校での就職指導が始まり、その指導員の養成が重視され、1924年には東京高等師範学校において、日本初の職業指導の講義が始まった。1926年11月、文部省訓令第20号「児童生徒ノ個性尊重及職業指導に関スル件」および次官通牒が発令され、学校での職業指導における指針・内容が明示された。これに基づいて、学校に向けての児童生徒の適性を考えた職業指導の啓蒙がなされた。しかし、第二次世界大戦が近づくにつれ、戦争のための労務計画に基づく強制的な労働人材の振り分けがなされるようになり、いわゆる滅私奉公に向かうことになった。1943年に国民学校で「職業指導科」が設立されたものの、もはやそのころには戦況悪化により授業どころではなくなっていた。 第二次世界大戦後の1948年、「職業科」が発足し、職業指導が行われ始めたが、1949年5月には「職業・家庭科」とする通達が文部省よりなされた。1951年の学習指導要領改訂により、職業・家庭科での職業指導の役割は、特別教育活動(後の特別活動)に徐々に移っていった。1953年には各学校に職業指導主事を置くことができるようになったが、ここで財政的な事情により、職業指導の教員免許がなくても教員免許を有するものであれば誰でも職業指導主事に任命できるものとされ、さらに1958年の学習指導要領改訂で、中学校で、職業・家庭科が「技術・家庭科」とされ、職業科は消滅、職業指導は進路指導と名を変えて、全教員によって実施されるものとされ、教育職員免許法上、職業指導の免許はあるが、特にその免許をもっていることを要求する教員採用数が激減することになった。そしてこのことが後に、特に中学校、また高等学校(主に普通科)での、深刻な職業指導の素人化を招くことになった。 2017年11月の教育職員免許法改正において、小・中・高等学校の教員免許の取得要件に「進路指導およびキャリア教育の理論及び方法」が追加され、全教員に進路指導の専門知識を持たせることが義務付けられ、全ての小・中・高等学校学校に職業に関する専門知識を持った教員の供給がようやく開始されることになった。
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