しつご‐しょう〔‐シヤウ〕【失語症】
失語症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/25 09:47 UTC 版)
失語症(しつごしょう、aphasia)とは、高次脳機能障害の1種であり、脳病変によって生じる後天的な言語機能[注釈 1]の障害である。「聞く」「話す」「読む」「書く」全てのモダリティが障害される。構音器官の麻痺などによる運動機能障害、先天的な構音器官の奇形などによる器質性障害など、所謂構音障害とは異なる。また、声の出なくなる失声症などとも異なる。失語症や、その他言語障害に対処する専門職業に言語聴覚士(speech-Language-Hearing therapist、略してST)がある。
注釈
- ^ 言語機能とは、言語を構成する要素(音素や単語など)と、その組み合わせに関する規則(音韻規則や統語規則など)を用いて意味を表現すること、また、その意味を読解することをいう。言語機能は、音韻、意味、語彙、統語などの部門から構成される(『言語発達障害学』第3版, p. 2, 「失語症と言語聴覚士の役割」)。言語機能は、発話(話す)、聴覚的理解(聞く)、読解と音読(読む)、書字と書き取り(書く)といった言語様式(言語モダリティ)に分けて考えることができる(『言語発達障害学』第3版, p. 42, 「失語症の症状」)。
出典
- ^ a b 『言語発達障害学』第3版, p. 2, 「失語症と言語聴覚士の役割」
- ^ a b c 『言語発達障害学』第3版, p. 42, 「失語症の症状」
- ^ 『言語発達障害学』第3版, p. 49, 「失語症の症状」.
- ^ 『言語発達障害学』第3版, p. 49-50, 「失語症の症状」.
- ^ 『言語発達障害学』第3版, p. 51, 「失語症の症状」.
- ^ 『言語発達障害学』第3版, p. 74, 「失語症候群」.
- ^ a b 『言語発達障害学』第3版, p. 75, 「失語症候群」
- ^ 『言語発達障害学』第3版, p. 86, 「失語症候群」.
- ^ 『言語発達障害学』第3版, p. 83, 「失語症候群」.
- ^ a b 綿森淑子 1986, p. 265.
- ^ a b c d e f 綿森淑子 1986, p. 266.
失語症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/21 05:43 UTC 版)
この領域に損傷を受けた人々は、ブローカ失語 (運動性失語、非能弁的失語とも) の症状を示し、文法的に複雑な文章を作り出すことが不可能になる。彼らの作る文章は、電文体と表現されるような内容語のみで構成されたものとなる。患者はほとんどの場合、自らの言語障害に自覚的である。また、ある種の統語的に複雑な文章の理解は苦手とするものの、ブローカ失語症患者の言語理解は正常である。 例として、ブローカ失語症患者が歯医者から病院までどうやって来たのかを説明しているときの会話を示す。: "Yes... ah... Monday... er... Dad and Peter H... (his own name), and Dad.... er... hospital... and ah... Wednesday... Wednesday, nine o'clock... and oh... Thursday... ten o'clock, ah doctors... two... an' doctors... and er... teeth... yah." (意訳) "はい・・あの・・・月曜日・・・えっと・・・パパとピーター(彼自身の名前)・・・とパパと・・・えっと・・・病院・・・あと、えー・・・水曜日・・・水曜日9時・・・あと・・・木曜日・・・10時・・・あー先生・・・・あと・・・歯・・・はい。" ブローカ失語はウェルニッケ失語と対照的である。カール・ウェルニッケにより名付けられたこの失語症は、より後側の領域である左半球の上側頭葉の損傷により起き、その患者は言語理解の障害を示す。したがって、ウェルニッケ失語症患者の言語産出は比較的自然なリズムで、比較的文法的なものであるにもかかわらず、大抵の場合、遠まわしで曖昧で無意味なものとなる。そのため、この失語症は感覚性失語として知られる。 ポジトロン断層法(PET)、及び機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)により、吃音時にブローカ野の活動が低下することが見つかっている。また、その時、右半球のブローカ野の相同領域の活動が増大している。このことは、ブローカ野の適切な抑制反応の低下によるものであると考えられている。体積的核磁気共鳴画像法(VMRI)によって吃音を示す人は、三角部の体積が小さいことが示されている。
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「失語症」の例文・使い方・用例・文例
- 私は失語症である父のために、将来聴覚訓練士になろうと決めた。
- 脳出血が原因で失語症になりました。
- 失語症患者の電文体発話
- 失語症に関する、あるいは、それにより影響されるさま
- 失語症患者のスピーチ
- 失語症の、失語症に関する、または、失語症を示す
- 失語症に冒されるまたは言語を使用するか、理解するできない誰か
- ドイツの神経科医で、失語症の研究で最もよく知られる(1848年−1905年)
- 障害が脳の様々な言語中心を接続している連合神経路にあるとされる失語症
- 言葉または文書による表現力がひどく損なわれる失語症
- 大脳皮質のブローカ野の外部、あるいはヴェルニッケ野の障害から生じる失語症の総称
- 流暢であるが、意味がないスピーチと口頭であるか書かれた語の理解能力の厳しい減退で特徴づけられる失語症
- たいてい中年または年配女性で見られ、前頭葉、側頭葉の知的能力の損失と一時的な失語症に特徴づけられる進行性の初老期認知症
- 失語症という病気
失語症と同じ種類の言葉
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