海水
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 04:55 UTC 版)


海水(かいすい)とは、海の水のこと[1]。水を主成分とし、3.5 %程度の塩(えん)、微量金属から構成される。
地球上の海水の量は約13.7億 km3で、地球上の水分の97 %を占める。密度は1.02 - 1.035 g/cm3。
構成成分
![]() |
海水の塩分濃度は測定の位置により一様ではないが、塩分の構成についてはほぼ一定である。
この内、塩分は、質量パーセントで、
成分 | 化学式 | 質量% | 溶質% |
---|---|---|---|
ナトリウムイオン | ![]() 上述の通り、海水は3.5%程度の塩分を含む。これは、地球が形成され、海が形成された当時、海水は酸性であり、それにより地殻を溶かし、アルカリ金属・アルカリ土類金属によって中和した事による。ただ、海水が中性になって以降も僅かながら地殻を溶かし続けており、これにより塩分濃度は徐々に上昇を続けている。しかし氷河時代による極地氷冠の成長や融解メルトダウンで多少の上下がある。 海洋の塩分は地球上の観測場所により3.1%から3.8%のばらつきがあり、海洋において一様ではない。とくに河口や氷河の崩落する地域では汽水化されている。最も塩分が高い外洋は紅海であり、海水の蒸発量の多さ、降水の少なさ、河川の流入、地形により海水の攪拌が少ないことなどが影響している。 なお、塩湖においては、海水よりもさらに塩分が高い場合がある。最も高いのは死海であり、塩分濃度は約30%である。これら塩湖は、河川から淡水が流入するものの、蒸発が激しく、流出する河川が無い事によって成立している。河川の淡水は僅かながら塩分を含んでいるため、水分の蒸発により塩分が濃縮されるのである。河川による水の流入はあっても流出がないという意味では、塩湖は海と同じである。 塩分と生物塩分組成の比率はヒトの体液とほぼ同じであるとまことしやかに言われることもある(一部の天然塩の宣伝など)が、ヒト生体の塩分濃度は約0.9%であり、海水の塩分濃度は生体よりもかなり高い。大量に飲まない限り害はないが、塩分が多く浸透圧が高すぎるため水分の摂取には適さない。また、体質によりマグネシウムイオンに対して敏感な場合は下痢の原因となる。 ただし海で生息する哺乳類の中には海水に適応している種もあり、ラッコはカワウソ類の平均の2倍もの大きさの腎臓により海水の塩分を濾過できるため、水分補給のために飲むことが出来る。またアオバトなど海に近い場所に生息する動物は、塩分の摂取を目的として飲む種もある。ヒトは水分を蒸発させて固体の食塩を採取するか、過去に海だった陸地において岩塩を採取し摂取する。 塩分組成の比率については、現在の塩分濃度よりも、その生物が生まれた当時の海水の塩分濃度・組成に近いと言える[6]。硬骨魚類を含む多くの脊椎動物は塩分濃度は0.8-0.9%前後であり、これは4億年ぐらい前の海水の塩分濃度に近いと考えられている[7]。脊椎動物の登場が5億4200万年前、脊椎動物(両生類)の上陸が3億6000万年前と言われている。一方で硬骨魚類と異なり淡水での進化を経験していない軟骨魚類、クラゲやイソギンチャクなどの刺胞動物、貝やイカ・タコなどの軟体動物、ウニやヒトデなどの棘皮動物、ホヤ類、甲殻類などの無脊椎動物については、体液は海水とほぼ同じ組成で、浸透圧も海水と等張である。 ただし、過去数億年の海水の塩分濃度については現在よりも高かったという見方も存在する[8][9]。 炭素循環炭素循環において海洋は非常に重要なリザーバーであり、とくに深海が地球上でもっとも炭素保持量が多い。
「炭素循環」も参照
用途
汚染
詳細は「海洋汚染」を参照
人間の経済活動に伴う排出物の自然環境中への投棄や化学プラント・船舶の事故、自然環境の変化に連動したものなどに分けられる。 脚注
関連項目外部リンク
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