大臣ヌーレディンとその兄大臣シャムセディンとハサン・パドレディンの物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「大臣ヌーレディンとその兄大臣シャムセディンとハサン・パドレディンの物語」の解説
バートン版「ヌル・アル・ディン・アリとその息子バドル・アン・ディン・ハサンの物語(第20夜‐第24夜)」 昔メスル(エジプトのカイロ)の国に、美男の兄弟の大臣、兄シャムセディンと弟ヌーレディンがいた。二人はある日「もし同じ日に結婚し、同じ日に子供が産まれ、シャムセディンの子が女で、ヌーレディンの子が男なら結婚させよう」と話し合ったが、その際の婚資(en:dowry)の額について喧嘩をしてしまい、ヌーレディンは町を出て放浪の旅に出た。ヌーレディンはいくつもの町を訪ねた末バスラの町に着き、その国の老大臣に気に入られ、娘と結婚し、美しい男の子ハサン・パドレディンをもうけ、老大臣の隠居とともに大臣になり、よく政治を行った。老大臣は間もなく亡くなったが、ヌーレディンは職に励み、ハサン・パドレディンの教育に努め、優れた学者に子を教育をさせ、ハサン・パドレディンが15歳になるまでに、学者の知識全てを吸収させた。また、ヌーレディンの妻は、菓子の作り方をハサン・パドレディンに教えた。ハサン・パドレディンはその美貌と知識のため、国王に気に入られた。 一方、兄シャムセディンは、奇しくも、弟ヌーレディンと同じ日に豪商の娘と結婚し、ハサン・パドレディンが生まれた日と同じ日に、美しい女の子セット・エル・ホスンをもうけた。 その後すぐに、ヌーレディンは病気で死亡し、ハサン・パドレディンは悲しみのあまり国王の所に行かなくなったので、国王は怒り、ハサン・パドレディンの全財産を没収し、捕まえるよう命令するが、ハサン・パドレディンは無一文で逃げ、町の外のヌーレディンの墓に着いた。そこにユダヤ商人が通りかかり「次に入港するヌーレディンの船を千ディナールで買う」ことを申し出、ハサン・パドレディンは同意し、千ディナールを受け取った。ハサン・パドレディンは父の墓で眠ってしまった。 そこに、女鬼神が通りかかり、ハサン・パドレディンの美しさに感嘆するが、男鬼神が通りかかり「エジプトのセット・エル・ホスンの方が美しい」と言うので、口論になり、眠っているハサン・パドレディンを連れて行って見比べようということになった。エジプトでは、国王がセット・エル・ホスンの美しさを知り結婚を申し込むが、シャムセディンが弟ヌーレディンとの約束のため断ってしまい、国王は腹いせに、セット・エル・ホスンをせむしと結婚させることにし、ちょうどその日は結婚式の日であった。男鬼神はせむしを便所に監禁し、ハサン・パドレディンが代わりにセット・エル・ホスンと初夜を共にした。2人が眠ると、鬼神たちは眠っているハサン・パドレディンをバスラまで運ぼうとするが、喧嘩をし、途中のダマスの町の城壁の外に裸のハサン・パドレディンを置き去りにした。翌朝、眼をさました裸のハサン・パドレディンは、狂人扱いを受けるが、町の菓子屋に保護され、養子になった。 セット・エル・ホスンはハサン・パドレディンの子を出産し、その美しい男の子はアジブと名づけられた。アジブが12歳の時、父親がいないことをからかわれたので、一家でハサン・パドレディンを探すことにし、ハサン・パドレディンが残していった服にあった書類から、バスラから来たことが分かったので、バスラを目指して旅に出た。 一行は途中ダマスに立ち寄り、アジブはお供の黒人の宦官サイードといっしょにハサン・パドレディンの菓子屋で菓子を食べるが、互いに親子であることに気づかなかった。一行は、バスラでハサン・パドレディンの母を見つけ、いっしょにカイロまで帰ることにし、再び途中でダマスに立ち寄った。このとき、ハサン・パドレディンの母は、菓子の味から、菓子屋がハサン・パドレディンであることに気づき、いっしょにカイロに帰り、幸せに暮らした。 類似の話:カマラルザマーンとあらゆる月のうち最もうるわしい月ブドゥール姫との物語
※この「大臣ヌーレディンとその兄大臣シャムセディンとハサン・パドレディンの物語」の解説は、「千夜一夜物語のあらすじ」の解説の一部です。
「大臣ヌーレディンとその兄大臣シャムセディンとハサン・パドレディンの物語」を含む「千夜一夜物語のあらすじ」の記事については、「千夜一夜物語のあらすじ」の概要を参照ください。
- 大臣ヌーレディンとその兄大臣シャムセディンとハサンパドレディンの物語のページへのリンク