夢解き
『アーサーの死』(マロリー)第5巻第4章 アーサー王が、ローマ皇帝と戦うために遠征する船中で、夢を見る。1匹の龍が西方から飛んで来て、東方の猪と戦い、これを殺すという内容であった。王は当惑し、哲学者に夢の意味を問う。哲学者は「龍は王自身、龍の翼はこれまでに征服した国々、龍の尾は円卓の騎士を指します。猪は、これから戦うことになる敵です。心配せず進軍なさい」と答える〔*アーサー王は、ローマ軍との戦いに勝利する〕。
『ダニエル書』第2章 ネブカドネツァル(ネブカデネザル)王が即位2年目に、夢を見て不安にかられた。ダニエルが王の問いに答えて、「王は『金・銀・銅・鉄などからなる大きな像が石に撃たれて砕け、石が大きな山となって地に満ちる』という夢を見た。それは、やがて王の代が終わり、その後いくつかの国が起こり、最後に神の立てる国が永遠に続くことを意味する」と、解き明かした。
*ファラオ(パロ)が見た夢を、ヨセフが解釈する→〔年数〕3の『創世記』第41章。
★1b.王が、自分の見た夢の内容を語らずに、「私が見た夢の内容とその解釈を示せ」と、賢者たちに要求する。
『ダニエル書』第2章 ネブカドネツァル(ネブカデネザル)王が、何度か夢を見て不安になり、「私が見た夢を言い当てて、その意味を示せ」と、賢者たちに命ずる。賢者たちは「夢をお聞かせ下されば、解釈いたしましょう」と言うが、王は「夢を言い当てられないのなら、賢者を皆殺しにする」と怒る。ダニエルが天の神に祈り、夜の幻によって、王の夢の内容を知る→〔夢解き〕1a。
『大鏡』「道長伝」 顕信は、藤原道長と高松殿明子との間に生まれた男子だった。ある時、明子は「顕信の左方の髪を、後ろ半分ほど剃り落とす」という夢を見た。その後しばらくして顕信は出家したので(*→〔観相〕3c)、明子は「あの夢は出家の前兆だった」と悟り、「夢解きに命じて吉夢に変えさせるべきだった」と述べた。
『今昔物語集』巻1-4 悉達太子の妃耶輸陀羅(ヤシュダラ)は、ある夜、月が地に落ちた夢・歯が欠け落ちた夢・右臂を失った夢、という3つの夢を見た。これを聞いた太子は「月は依然として天にあり、歯は落ちず、臂も身についている。夢は虚妄だ。恐れることはない」と言った〔*しかし悉達太子は、この時すでに出家の決意を固めており、ある夜、妃や従者たちが眠っている間に、太子は宮殿から出て行ってしまった〕。
『太平記』巻38「太元軍の事」 元の老皇帝(クビライ)が夢に、自らは羊となり、宋の幼帝が獅子となると見る。羊が獅子に恐れて倒れ、2つの角と1つの尾を失うので、不吉な夢と思う。西蕃の帝師が「『羊』の字から2つの角と1つの尾を取れば、『王』の字になる。これは天下の主となる瑞相」と解く。
★3.夢は、いったん解釈されてしまったら、もう解釈し直すことはできない、という話もある。
『遠野物語拾遺』150 ある侍が、物見山を腹の中へ呑み込んだ夢を見た。気にかかるので、大徳院で夢占(ゆめうら)を引いて来るよう、下男に命じた。下男は途中で某という侍に出会い、夢の話をする。某は「物見山を呑んだら腹が裂けよう」と言って笑う。大徳院では「この夢は、もう誰かに判断されてしまったので、当院ではわからぬ」と言って、答えなかった。夢を見た侍は、その後どういう事情かで、切腹して死んだ。
『三国志演義』第78回 かつて曹操は、3頭の馬が1つの槽で秣(まぐさ)を食う夢を見て、「馬騰・馬休・馬鉄が、曹家(=槽)を滅ぼすか」と疑い、彼らを殺した。しかし曹操は、後にまた同じ夢を見た。「馬」は司馬氏のことで、司馬懿・司馬師・司馬昭の3人が権勢を得て、曹家を廃することを意味していたのだった。
*素人の夢判断と易者の夢判断の違い→〔梯子〕3の『御慶(ぎょけい)』(落語)。
*鳥が針をもたらす夢の解釈→〔針〕2aの『うつほ物語』「俊蔭」。
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